コニカミノルタと産業革新機構、アンブリー・ジェネティクスの買収合意

2017.07.13
山名昌衛氏
藤井清孝氏
勝又幹英氏
腰塚國博氏
川辺一毅氏
 7月6日(木)、ベルサール東京日本橋 (東京都中央区)にて、「コニカミノルタと産業革新機構によるアンブリー・ジェネティクスの買収合意」に関する記者会見が開催された。今回の買収合意は、がん治療などに今後大きな役割を期待されているプレシジョン・メディシン推進に向けた戦略的取り組みの先駆けとなるものである。本会見には、山名昌衛氏(コニカミノルタ株式会社代表執行役社長兼CEO)、藤井清孝氏(コニカミノルタ株式会社常務執行役ヘルスケア事業本部長)、腰塚國博氏(コニカミノルタ株式会社常務執行役技術担当)、勝又幹英氏(株式会社産業革新機構代表取締役社長兼COO)、川辺一毅氏(株式会社産業革新機構投資事業グループマネージングディレクター)の、計5名がのぞんだ。
 本件について、山名昌衛氏(コニカミノルタ株式会社代表執行役社長兼CEO)は、「コニカミノルタのタンパク質高感度定量検出技術(HSTT)とアンブリー・ジェネティクス社の遺伝子診断技術を合わせることにより、プレシジョン・メディシンの市場へと進出していく」と説明。さらに、産業革新機構との協業により、ゲノム国家戦略を推進する関係省庁とのコミュニケーションを強化し、医療機関、研究機関を含む遺伝子バンクなどのコンソーシアムによる活動推進を行っていく。
 藤井清孝氏(コニカミノルタ株式会社常務執行役ヘルスケア事業本部長)は、プレシジョン・メディシンについて、遺伝子変異やタンパク質発現などの特性を分子レベルで認識し、個々の患者の特性ごとにグルーピングし、治療・予防をしていくことだと述べ、個々に合わせていく個別化医療とは少し意味が異なると説明。プレシジョン・メディシンは、個々人の分子レベルで特性を認識することで、患者のQOL向上、社会保障費の削減、さらに製薬企業にとっては新薬認可の確率向上などにより価値ある治療薬を世の中に提供できることにもつながる。HSTTは同社が誇る写真工学でのフィルム技術を進化、加えて、AIによる高度認識と定量化により、がん細胞と免疫細胞の位置認識とタンパク質発現量の定量化を図る。今回買収したアンブリー・ジェネティクス社は「高度なバイオサイエンス」「先進的商品開発」「生産性の高いオペレーション」「強力なエコシステム」を有しており、メイヨー・クリニックなどの有力研究機関とのコラボレーションなども行っている。これからの日本市場での展開について同氏は「アンブリー・ジェネティクス社の最先端遺伝子診断技術、データベース、AI解析を用いて、アンブリー・ジェネティクス社の実績ある高精度遺伝子検査サービスを展開していき、日本人の特性に合わせた遺伝子解析を進めていく」と語った。
 勝又幹英氏(株式会社産業革新機構代表取締役社長兼COO)は、本件の参画について、さまざまな日本企業やアカデミア・医療機関とのオープンイノベーションを期待。日本におけるプレシジョン・メディシンの推進に貢献し、日本発のユニークな技術の商用化と海外展開を推進していき、遺伝子検査事業のグローバル展開を促進していくと説明した。

会場風景