エキスパートがお届け!!Site of RSNA@寺島正浩先生(医療法人社団CVIC 心臓画像クリニック飯田橋)Part3

RSNA2017 Report:エキスパートがお届け!!Site of RSNA
2017.11.30

本日は、心臓関連の発表を聞き、幾つかの企業ブース巡りの続きをしてきました。

企業ブース
1.Toshiba (Canon):
 企業ブースでひときわ目を引いたのが、非常に大きなCanonのブースです。Canon groupとなり、Groupで統一した大きなブースとなっていました。Toshibaは最新の高分解能CTであるAcquilion Precisionを発表しており、0.25mmのスライス厚での撮影が可能で、従来の2倍の空間分解能0.4×0.5mmでの撮影が可能です。会場でも多くの参加者の注目を集めていました。我々が注目したのは、MRI groupの取り組んでいるDeep Learning Reconstruction (DLR)と呼ばれる技術です。FDA認可前ののために、今回はタブレット端末説明となりました。長時間撮影での高SNR画像をTeaching data(教師データ)として、短時間撮影の低SNRの画像からノイズを取り除くことに応用していました。SNR向上が、短時間撮影も可能であったり、心臓部門に応用すれば、短時間での低SNR画像をより鮮明な高SNR画像に変換できます。Toshiba開発の高速撮影技術と結びつければ、心臓MRI検査の時間短縮が期待されます。Canon groupと一緒になり、Canonの持つ画像処理技術を取り込むことで、Hardwareだけではなく、Softwareの分野でも大きな進歩が期待できる内容でした。

Toshiba (Canon)ブース

2.Terarecon:
 Envoy AIのPlatformを取り込んだWorkstationをDemoしていました。自分のDICOM画像に複数のAI解析をかけることが出来るのは非常に便利と感じました。

Terareconブース

3.Infervision: http://www.infervision.com/infer-en
 中国のAI会社で非常に完成度の高いAI softwareを作り上げています。既に中国では10近い病院で導入されているようです。胸部CTの画像からわずか5秒程度で異常陰影を検出し、それらを分類して知らせてくれるSoftwareです。CVICのように、心臓撮影時に一緒に映る肺病変の精査に頭を悩ましている施設にとっては、簡便に異常を検出してくれる機能は便利です。実際に、読影必要な画像を放射線科医に依頼することが可能です。他には頭部CTよりStroke(脳梗塞)を定量的に検出してくれる機能も完成していました。写真にあるCEOであるMr. Chen Kuanは、今後は他の領域にも応用していきたいということで、心臓分野での応用に期待したいと思います。

Infervisionブース

4.Heart Imaging Technologies: http://heartit.com/
 Duke大学と共同研究して心臓MRI softwareを開発している会社です。非常に便利な使い易いSoftwareを開発しており、心臓MRI解析の時間短縮が期待されます。

Heart Imaging Technologiesブース

学会演題
1.Sexual Dimorphism in the Association between Coronary Plaque Burden and Coronary Wall Thickness in Asymptomatic Coronary Artery Disease
 冠動脈CTAでの冠動脈病変の拡がりとと3TMRIでのCoronary wall thickness(冠動脈壁厚)を比較検討していました。Coronary plaqueの拡がりは、MRIでの冠動脈壁厚と良く相関し、男女差が大きく、女性では年齢が大きなFactorであるとの結論です。3TMRIにて冠動脈壁厚を比較的綺麗に描出していたのが印象的でした。同様の研究をStanford大学にて1.5Tにて行っていましたが、やはり3TはSNRが高いと感じました。

2.Prevalence of Unrecognized Myocardial Infarction Detected By Cardiac Magnetic Resonance and Its Relation to Coronary Artery Calcium Score in Asymptomatic Asian Cohort
 無症候のアジア人でも2.3%に無症候性心筋梗塞が見られるとの報告です。冠動脈石灰化スコアが301以上では頻度が高いということで、冠動脈石灰化スコア>301で遅延造影による無症候性心筋梗塞の検出を試したほうが良いとの結論です。造影MRIのIndicationを示した興味深い研究です。