フィリップス、ヘルステックソリューションおよび新世代血管撮影装置「Philips Azurion Bi-plane」を発表 ~医療の質と効率の両立を目指して~

2018.03.06
大島一範氏
村松俊哉氏
滝村英幸氏
 (株)フィリップス・ジャパンは、2018年2月28日、フィリップス・ジャパン本社(東京都港区)でプレスセミナーおよび新製品発表を開催した。
 まず第1部として『医療を支えるテクノロジー時代の最新ソリューション』と題したセミナーでは、堤浩幸(フィリップス・ジャパン代表取締役社長)が2018年に日本で開始する「Philips HealthWorks Startup Program」について解説した。このプログラムはオランダ、インド、中国、アメリカの4拠点のイノベーションセンターをベースに2017年に開始され、ヘルステック部門のスタートアップ企業に支援を行うもの。日本でも同様に企業に対しイノベーションセンターのリソースや医療テクノロジー・プラットフォームへのアクセス権を提供するほか、専門家からのアドバイスや投資などを行う。
 その後、睡眠時無呼吸症候群の在宅医療を支えるクラウドソリューションやデジタル病理診断の展望とそのための準備などの説明もなされた。
 第2部の「医療費膨張時代における、医療の質と効率の両立への期待」では、新世代血管撮影装置Philips Azurion Bi-planeが紹介された。
 まず大島一範氏(フィリップス・ジャパンIGTビジネスマーケティングマネージャー)が「AzurionフルラインアップとEfficiencyソリューション」と題し、その特長とラインナップを紹介した。
 同製品は「Azurion 7 B20/15」(脳神経血管内治療向け)、「Azurion 7 B12/12」(循環器疾患治療向け)、「Azurion 7 B20/12」(循環器疾患・全身・汎用型)の3タイプがあり、高画質と低被ばくを両立した装置である。また現場の声を反映しスマートフォンを扱うように直感的な操作が可能であり、効率性を高め、患者、医療スタッフの負担の軽減に役立っていると述べた。
 続いて2017年からAzurionを活用している村松俊哉氏(総合東京病院副院長・心血管イノベーション治療センター長)が「Azurionは画質が非常に柔らかく、肺などの臓器と重なっても非常に鮮明な血管の画像が得られ、被ばく量も少なくこれまでの1/3程度に抑えられるため、患者の安全性についてはもちろん、医療スタッフの健康に関しても有益である。我々の病院は2017年にB棟2階に心臓血管センターを開設し、同年には2017年には心臓カテーテル検査805件、経皮的冠動脈インターベンション492件、末梢血管カテーテル治療165件、カテーテルアプレーション40件などの実績がある。」と話した。
 滝村英幸氏(総合東京病院心血管インターベンション治療センター)は「Azurionは被ばく量が少ないにも関わらず画質がよいのが一番のポイント。また、操作性が高く、新しい機能がついたことにより、これまでとは違うカテーテル治療ができるようになった。モニター(FlexVision Pro)は画面が非常に大きく、一つの画面の中に複数の画像を映し、自由にレイアウトもできる。タッチパネルやマウスで直感的に操作ができ、瞬時に画面を切り替えることもできるので、手技中、手を止めなくても操作できる。」と評価した。さらに、医師が治療をしているときに、同時に別室ではスタッフが解析などを行えるなど、独立した操作が可能であり、効率的であると述べた。
 また、カテーテル治療時の透視画像に撮影したロードマップを重ねて表示するDynamic Coronary Roadmap機能により、それを見ながらカテーテルやガイドワイヤーを血管の中に安全かつ正確に挿入することができ、造影剤の使用量を少なくできることなどを説明した。
オランダで2年間にわたって行われた、約800名の患者対象の検証ではAzurionはカテーテル治療における手技時間を17%短縮することができたとの報告も上がっている。それによって患者の負担だけではなく、準備や施術にかかる準備時間も短縮され、医師やスタッフの治療技術や満足度の向上、さらには医療費の軽減にも貢献している。
 最後に行われたパネルディスカッションでは活発な討議がなされ、盛況のうちに幕を閉じた。