「女性外科医キャリア形成をめぐって~現状と課題解決に向けたチャレンジとは~」では、減少する外科医の消滅を防ぐために、女性外科医のキャリアの継続性と、キャリアアップのための必要性が訴えられ、ロールモデルを交えた、現状の紹介が行われた。
コヴィディエンジャパン(株)は、2018年3月6日(火)、フクラシア丸の内アオゾ(東京都丸ノ内)にて、「女性外科医キャリア形成をめぐって~現状と課題解決に向けたチャレンジとは~」と題したメディアセミナーを開催した。
始めに、平松昌子氏(高槻赤十字病院 副医院長)は「女性外科医を取り巻く現在の環境とチャレンジ」と題して、過重労働に見合わない報酬、訴訟リスク、重責に対するストレスにより外科医が年々減少し、消滅寸前となっている現状と、女性外科医師の重要性、キャリアアップについて語った。
同氏は、「女性は医師のキャリア初期と、出産・育児といったライフイベントが重なるため、勤務時間軽減や保育所の充実、サポート体制と言った支援が欠かせない。打開策としてクラークの活用、チーム制によるワークシェアリングやフレックスタイムの導入、手術の時間交代性等による、勤務形態の多様化が大事だ。また、女性の専門医の取得・更新においても、学会・セミナーへの参加、経験症例数の問題、学会発表や論文執筆、産休・育休によるキャリア中断など多くの壁が存在し、フォローが必要である」と語った。
最後に平松氏は日本臨床外科学会における評議員・役員数の女性割合の低さにも触れ、女性支援とは、家事育児をしやすい環境だけに留まらず、活躍できる環境を実現することであるとし、最後に自身が会長を務める消化器外科医女性医師の活躍を応援する会、第79回日本臨床外科学科総会で行われたキャリアアップ10ミニッツ・セミナーや、Master Class for AEGIS-Women などの具体的な活動についても触れた。
つづいて力山敏樹氏(自治医科大学附属さいたま医療センター教授)と長谷川芙美氏(同助教)のパネルディスカッションでは、「女性外科医師のキャリアアップと、医局における環境整備の取り組み」について語られた。長谷川氏は、育児を行う女性医師が、男性も交え顔を合わせ相談のできる環境の整備を訴え、力山氏は、男性医師が育児に参加しやすい環境こそが、女性の育児をサポートする環境に繋がると語り、外科医の総数を増やす必要性に触れた。
コヴィディエンジャパン株式会社の中川玲子氏(コヴィディエンジャパン株式会社 事業部長) は、Medtronicによる女性外科医医師応援プロジェクトについて、応援ビデオの放映やランチョンセミナーの実施、託児所を併設した手術トレーニングなどのキャリア支援活動や、女性医師の使い易い機器の開発といったハード面の支援、提供中のWebコミュニケーションサイトの紹介を行った。