キヤノンメディカルシステムズ(株)はAI 技術の一つであるディープラーニングのMRI撮像への適応、Deep Learning Reconstruction(以下、DLR)に関して、本年3月より、熊本大学、および仏国 ボルドー大学との共同研究をスタートする。
ボルドー大学では、3月5日、共同研究を行う施設があるInstitute of Bioimagingにおいて開所式が行なわれた。
DLRは、ディープラーニングを用いてノイズの多い画像からノイズを除去するノイズ除去再構成技術であり、ノイズの多い画像とノイズの少ない画像との関係性をコンピューターで解析・モデル化させることで、新たに得られた画像のノイズを除去することが可能となる。単に画像を高分解能で撮像できるだけでなく、従来検査では困難であった超高分解能撮像を短時間で行なうことが可能となるため、超高分解能撮像の臨床検査への適応とその有用性に関して、高い注目が集まっている。また一般的な平滑化フィルターと比べると、ノイズ除去に伴う画像の劣化が極めて小さく、実質の信号自体の変動が少ないという特性により、単なる画質改善効果だけでなく、ノイズの影響を受けやすい定量解析の安定性を向上できる可能性もあり、今後の MRI 検査の概念を大きく変える技術として期待されている。
今回の共同研究について、熊本大学大学院生命科学研究部 放射線診断学分野 山下康行教授は「DLRは今までのMRI撮像の概念を変える可能性があり、超高分解能画像の短時間収集や定量解析での安定性向上など発展性が期待される」と、コメントしており、また、ボルドー大学国際関係担当副学長であるVincent Dousset教授は、「昨年 11 月に導入したキヤノンメディカルの最先端3テスラMRIシステムで得られる超高分解能画像は、DLRとの組み合わせにより7Tに近づく画像を描出可能であり、これまでの高磁場MRI研究を一部代替できる可能性があります。」とコメントしている。
同社代表取締役社長、瀧口登志夫は「次世代のMRI技術開発に繋がる最先端の共同研究が国内外の著名施設で開始でき、大変光栄です。診断に必要な画像をより高解像度で提供することで新たな臨床的な価値が生まれることを期待しています。」と述べている。
同社は最新のAI技術と次世代 MRI 装置を融合させることで、ノイズ除去や画質改善効果のみならず、MRIの新たな領域への活用が図れるものと考えている。今後も世界中の医療施設と連携し、最新の技術を提供することにより、いのちを守る医療に貢献していく。
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