まず、同社クリニカルケア・ソリューション本部長の黒川貴史氏が、汎用超音波装置の最上位機種となる「LOGIQ E10」について説明した。早期診断が難しい膵臓がんの診断においては、悪性度の高い病変を発見するだけでなく、より早期にハイリスク患者を絞り出すことが重要と指摘し、LOGIQ E10の持つ①瞬時に大量のデータが取り込め、客観性の向上②ミリ単位の形態変化を把握できる高画質で近位部、深部までの高い均一性の実現③血流イメージング機能の向上などにより、空間分解能が飛躍的に高まり、低流速から高流速までの血流を視覚化しやすくなった――などの特長を挙げ、「非侵襲的で総合的な膵臓がんの早期発見に貢献できるもの」と述べた。
続いて岡庭氏が講演し、膵がんの10年生存率が4.9%と低い理由として「がん死の90%は転移による。転移後、約2.7年で死に至る。膵がんの予後が悪いのはこの診断時期が遅いため」と述べたうえで、「がんが増殖し転移能を獲得するまでは約7年かかる。この時期に発見すれば予後が改善する」と早期発見につながる高度な超音波診断装置の意義を指摘した。
早期発見では膵管の上皮内がんでの発見がきわめて重要だが、主膵管拡張などを契機に超音波診断で発見されることが多いとした。拾い上げのポイントとして「高周波プローブを用いた拡大観察により限局性膵管狭窄と、随伴性膵炎を反映する淡いエコー領域」を挙げた。
LOGIQ E10の高解像度の診断装置により、高周波プローブを用いた拡大観察で1ミリ以下の膵管や膵内胆管も明瞭に描出できる。これにより高危険群とされる主膵管拡張や嚢胞性病変などをスクリーニングできるようになった。今後の超音波診断では、予後のよい膵がんの発見のためには「膵管の描出が重要であり、高周波プローブによる拡大観察が必須」とし、さらに「超音波検診判定基準の普及、不足しているスクリーナーの教育が必要」と強調した。