RSNA2018がいよいよ開幕しました。今年のテーマは「Tomorrow’s Radiology Today」。初日から多くの参加者で賑わっています。アブストラクトを流し読みする限り、AI関連の演題がさらに増加傾向のようです。
初日AMに行われた「Coronary CTA: Flow and Fractional Flow Reserve」のセッションについて簡単にレポートします。近年、冠動脈CTAのデータを用いて非侵襲的に冠血流予備量比(fractional flow reserve:FFR)を予測することが可能になり(以下CT-FFR)、エビデンスが蓄積されつつあります。CT-FFRの手法も発展し続けており、その臨床的な意義や活用法について今後、更なる検証が必要な領域です。本セッションでは7つの学術発表と1つの基調講演がなされました。学術発表では「Coronary Endothelial Shear Stress」や「Machine Learning Based CT-FFR」という新技術の有用性についてや「3D Deep Learningを用いたFully Automated Estimation」といった先進的な技術の初期経験も発表されました。さらに臨床的診療上、重要なテーマである「心筋負荷パフュージョンCT(CTP)とCT-FFRの比較」に関する報告も2演題あり、それについて報告します。
SSA03-02
Comparison Between Stress Cardiac Computed Tomography Perfusion versus Fractional Flow Reserve CT Derived in the Evaluation of Suspected Coronary Artery Disease: PERFECTION Prospective Study
冠動脈疾患が疑われた147症例をエントリーし、冠動脈CTA単独、冠動脈CTA+CTP、冠動脈CTA+CT-FFRの診断能について侵襲的FFR(0.8以下)をreference standardとして比較している。診断精度(accuracy, vessel-base)は冠動脈CTA単独 82%、冠動脈CTA+CTP 92%、冠動脈CTA+CT-FFR 94%でCT-FFT、CTPの付加価値が示された。手技の簡便性からCT-FFRの方が臨床運用的には優性と感じる。
SSA03-03
CT Myocardial Perfusion Imaging and CT Angiography-Derived Coronary Fractional Flow Reserve for the Prediction of Major Adverse Cardiac Events in Patients with Coronary Artery Disease
冠動脈CT、CTP、CT-FFRのprognostic valueに関する報告である。81症例に対し、MACE(主要心血管イベント)をエンドポイントに評価。平均観察期間18ヶ月。MACEの予測能についてROC解析がなされている。MACE予測の診断能(AUC)は冠動脈CT 0.655、CTP 0.88、CT-FFR 0.75であった。MACE予測においてもCT-FFT、CTPの有用性が示された重要な報告である。
最後に基調講演(SSA03-08 Cardiac Keynote Speaker: Value of CTA for Fractional Flow Reserve)ではCT-FFRについて次の点が強調された:①医侵襲的、簡便、特異的、②decision makingの向上、③安全、④医療経済的・QOLの面でのメリット、⑤今後のAI活用に期待。
昨年同様、シカゴはそれほど寒くなく、過ごしやすいRSNAとなりそうです。私自身は10回目のRSNAであり、食事や観光などマンネリ化を予感する初日でした。