RSNA2018 Certificate of Merit 受賞 Occupational Radiation Exposure of the Eye in Neurovascular Interventional Physician
私が所属する秋田県立脳血管研究センターはPETの開発など、放射線に関する研究などでは世界的に実績がある施設です。通称「秋田脳研」と呼ばれてきましたが、脳血管以外にも特に循環器部門の拡充により県民の健康を支える目的で、来年三月には新棟が新設されます。脳血管用Hybridと循環器用Hybridシステムをそれぞれ新設するなど、まさに二刀流の施設に生まれ変わります。名前も「秋田県立循環器・脳脊髄センター」となります。古き伝統のある秋田脳研という名でRSNA最終年に受賞できたことは感慨深いところがあります。また、東北大学大学院医学系研究科非常勤講師で「千田研究室」に身を置くものとして、研究室10回目の受賞に漕ぎつけたことも責任を果たせた気がしております。
今回の内容は、ICRP Publication118にて、放射線作業従事者の水晶体線量限度を引き下げる提言が行われました。国内法にも受け入れる方向で進んでおり、頭頚部領域IVRにおける水晶体臨床線量を実測した報告です。水晶体線量を実測できるDOSIRISを用いて、半年間測定した結果、最も水晶体被ばくが多かった医師は、防護眼鏡の外側で2.6 mSv/6-month、内側で1.6 mSv/6-monthでした。測定した3名の脳外科医師平均は、防護眼鏡の外側で0.04 mSv/case、防護眼鏡の内側で0.02 mSv/caseとなり、当施設の施行件数では年間20mSv以下と推定できた。今回の研究で重要な点は、頸部に着けた個人線量計から推定する水晶体線量はDOSIRISの直接測定結果と比較して相関が低く、被ばく線量が高い医師においては、水晶体を直接測定するシステムの構築が必要と考えました。