世界の医療関係者がウイルスの1歩先を行くことに貢献
2019年11月6日―アボットジャパン株式会社(以下、アボット)は、同社の科学者チームが、HIV-1 グループ M サブタイプLと呼ばれるHIVの新たなサブタイプを特定したことを発表した。
11月8日、その内容がthe Journal of Acquired Immune Deficiency Syndromes
(JAIDS)にて発表された。この発見は、研究者たちがウイルス変異の一歩先を行き、新たなHIV流行の阻止を助ける上で、次世代ゲノムシーケンシングが果たす役割を示すものである。
今回の研究は、2000年にHIV新株の分類ガイドラインが策定されて以来、初めてグループ Mの HIVウイルスの新たなサブタイプを特定したものである。グループ Mのウイルスは、世界的な流行を引き起こしたウイルスで、サブサハラ・アフリカのコンゴ共和国を起源としている。
■新たなウイルスを発見した遺伝子シーケンシングを支える科学
異常なウイルスが本当に新たなHIVサブタイプであるかどうかを決定するには、それぞれ別々に発見されなければならないが、かつてはサンプルのウイルス量および技術の面で、シーケンシングが困難であった。
今日、次世代シーケンシング技術により、研究者はより速く、より少ないコストでゲノム全体を解析することが出来るようになった。その技術を応用するため、アボットの科学者は新たな技法を開発・適用し、サンプルのウイルス部分を特定し完全なシーケンシングおよびゲノム解析を完了することを可能にした。
「今回のような新たなウイルスを特定することは、干し草の山から一本の針を探すようなものです。また、私たちの技法を進化させ、次世代シーケンシング技術を応用することで、私たちは磁石を使って針を見つけています。今回の科学的発見は、私たちが新たな大流行を未然に阻止することが可能であることを証明しています」と、アボット診断薬・機器事業部の首席サイエンティストで同社Global Viral SurveillanceProgramヘッド、本研究論文の著者の1人でもあるMary Rodgers, Ph.D.は述べている。
■25年間にわたりウイルス変異を世界中で追跡
アボットは、血液スクリーニングおよび感染症検査のリーダーとして、HIVと肝炎ウイルスを監視し、変異を特定することで、自社の診断検査が最新であり続けることを確保するために、25年前にGlobal Viral Surveillance Programを創設した。
今回の研究の一環として、アボットの科学者は、自社のコア診断検査および遺伝子検査でこの新たなHIV株を検出できることを確認した。
アボットは世界中の血液センター、病院、及び学術機関との提携を通じて、45か国からHIV及び肝炎ウイルスを含む78,000を超えるサンプルを収集し、5,000株以上を識別・特徴づけし、その結果をこれまで125本の研究論文として発表することで、科学界がそれらのウイルスについて学ぶ手助けをしてきた。
アボットが発表した論文“Complete genome sequence of CG-0018a-01 establishes HIV-1 subtypeL”はオンラインで閲覧できる。
お問合せ
アボットジャパン株式会社
https://www.abbott.co.jp/