BDのグループ会社である(株)メディコン(以下、メディコン)は、末梢動脈疾患(PAD)による下肢動脈の再狭窄を抑制する薬剤塗布バルーンカテーテル「LutonixⓇ ドラッグコーティングバルーンカテーテル(大腿膝窩動脈用)」RX タイプ(以下、ルトニックス RX)を2020年2月より全国販売する。
下肢末梢動脈疾患は生活習慣病や加齢によって足の血管が細くなったり、血液の流れが悪くなる病気で、重症化すると足のしびれや痛みで歩行が困難になることもある。また、下肢を切断しなくてはならないほど重症化するケースもあり、心筋梗塞や脳卒中にも繋がるなど命に関わる疾患だ。
虚血性の下肢末梢動脈疾患では、バルーンカテーテルにより狭窄した血管を拡張したり、金属製ステントを血管内に留置する治療が行われてきたが、バルーンのみによる治療では 1年で約50%※1が狭窄を再発するとされており、金属ステント治療では再狭窄は減少するものの、ステント自体が破損する可能性が指摘されていた。
この度、全国販売を開始するルトニックス RXは、狭窄した血管の病変部に配置したバルーンを拡張して血管壁に圧着させることで、バルーン表面にコーティングされた薬剤「パクリタキセル」が血管内腔表面に送達され、血管壁内に拡散する仕組みになっている(図1)。また、パクリタキセルが血管の再狭窄を抑制する。
本品は、欧州で実施されたLutonixⓇ Global SFA Registry※2において、実臨床における大腿膝窩動脈病変に対する治療1年後の再治療回避率94.1%、2年後の再治療回避率90.3%であることが示された。
■日本の医療現場のニーズに応える
ルトニックス RXは患者と医療従事者の安全性に配慮した日本の医療現場のニーズに応えて生み出された製品。バルーンは耐久性のあるコーティングにより、取扱中の薬剤剥離を制限し、患者や医療従事者への不要な薬剤暴露を低減する。また治療効果に必要十分な濃度の薬剤(2㎍/㎜2)が塗布されており、薬剤の半減期が6~7時間と短いのが特徴である。
■日本国内標準仕様の径0.014インチのガイドワイヤーに対応
ルトニックス RXは、日本国内で標準的に使用されている径0.014インチのガイドワイヤに対応している。対応ガイドワイヤ径は従来品に比べて約60%細く(図2.メディコン社製品比)、これにより穿刺部の侵襲を低減するとともに、屈曲した病変部にカテーテルを通す操作性を向上した。
ルトニックス RXはバルーンカテーテルの簡便さとステントの再狭窄率の低さを兼ね備えた製品として、PAD患者の予後向上に貢献するものと考えられる。
LutonixⓇ RXドラッグコーティングバルーンカテーテルによる治療の流れ
1.できるだけ短い時間(約30秒)で標的部位までバルーンを進め、狭窄部の病変全体をカバーするように標的部位の中央にルトニックス RXを配置する。
2.ただちに適切な圧で拡張し、血管壁に完全圧着させる。
3.バルーンに塗布されたパクリタキセルが血管内腔表面から血管壁内に拡散される。
LutonixⓇ RXドラッグコーティングバルーンカテーテルの製品概要
<製品名>
Lutonix ドラッグコーティングバルーンカテーテル(大腿膝窩動脈用)
<承認番号>
22900BZX00252000
<クラス分類>
[4]高度管理医療機器
<償還区分>
PTA バルーンカテーテル・再狭窄抑制型
Lutonix ドラッグコーティングバルーンカテーテルは大腿膝窩動脈自家血管内における対照血管径4㎜以上6㎜以下、長さ15㎝以下の新規又は再狭窄病変の治療(ステント内を除く)において、血管径の改善及び血管の再狭窄の軽減を目的とします。本品は経皮的血管形成術(PTA)用カテーテルとして、2017年8月3日に薬事承認されました。
製造販売元:株式会社メディコン
※1 Kenneth Rosenfield, M.D. Trial of a Paclitaxel-Coated Balloon for Femoropopliteal Artery Disease. N Engl JMed 2015;373:145-53.
※2 Marcus Thieme, MD. The 24-Month Results of the Lutonix Global SFA Registry Worldwide Experience WithLutonix Drug-Coated Balloon. J Am Coll Cardiol Intv 2017;10:1682–90.
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