2月10日、株式会社島津製作所(本社・京都市中京区)三条工場 本館1階大ホールにて、第97回レントゲン祭が開催された。これはX線の発見者である、ヴィルヘルム・コンラート・レントゲン博士(1845年3月27日~1923年2月10日)を偲ぶとともに、その功績を称える恒例の行事である。同社の代表取締役社長である上田輝久氏が式辞を述べるなかで、同社の骨密度測定アプリ「Smart BMD」などにAI技術を積極的に導入し、自社の技術で医療現場の働き方改革に貢献していくことを宣言した。
続いて、「一般撮影室の改革~島津製作所による医療現場への貢献~」として株式会社島津製作所医用機器事業部の奥野智晴氏が講演。ワークフローの改善や自動長尺撮影、単純撮影像に比べ人工関節のポーラス面と骨との固着状態をより正確に把握できるなどの利点を持つトモシンセンス、動態イメージング、パワーアシストといった技術による一般撮影室の改革案を解説した。
第2部には、大好評のうちに最終回を迎えた放射線科を舞台にしたドラマ『ラジエーションハウス』の、原作漫画の監修者である五月女康作氏(東京大学大学院総合文化研究科進化認知科学センター 特任助教授)が登壇。氏の診療放射線技師としての人生に沿いながら、『ラジエーションハウス』誕生とドラマ化までの軌跡と裏話を語った。そのなかで、診療放射線技師冥利として「知識と技術に裏付けられた気づきと機転が目の前の患者の人生を変える」という自身の職業観を披露。そうした氏だが、「病気を見つける診療放射線技師の感じるやりがいと、世間の診療放射線技師のイメージの乖離が小さくならないことを感じていた」という。その代表として、同作品の序盤で放射線科医が診療放射線技師に向け発する「余計な事はしなくていいから、マニュアル通りに写真を撮ってくれさえすればあとは私達が診断しますので」という台詞を例に引用し、「この言葉は一部真実も述べている。注目される職業になりつつある今、そうでないことを証明できるのは結局のところ日々の自己研鑽しかない」と提言。診療放射線技師は「常識に捕らわれずに目の前の問題を解決するために、あらゆる手段を備えておいて的確にそれらを使う」画像への執着が必要だと強調しながらも、「されど診療放射線技師は縁の下のちから持ち。放射線科医に最高の画像を届けることが患者の未来を変えるために技師に与えられた使命」と医療現場での連携の大切さを説いた。来場者からの『ラジエーションハウス』の今後に関する質問に対し「まだ未定ですが構想はあります」と語った。漫画からテレビドラマへ。診療放射線技師という仕事を世の中へ広めた同作から、まだまだ目が離せそうない。