日本BD、 “そけいヘルニア”治療に関するプレスセミナーを開催 ~テーラーメイド手術の実際と最新のONSTEP法~

2020.02.21

 日本BD㈱は2月18日、患者の病態に合わせたテーラーメイドのそけいヘルニア治療に関するプレスセミナーを鉄鋼カンファレンスルーム(東京都千代田区)で開催した。本セミナーでは東京デイサージェリークリニック院長の柳 健氏が講演を行った。
 一般的に「脱腸」と呼ばれる良性の病気であるそけい(鼠経)ヘルニアは、患者が「良性で恥ずかしい部位だから」「大がかりなイメージがある手術に踏み切れない」「検査や入院に時間を費やさなくてはならない」という理由から治療を先延ばしにしてしまう課題があるという。これらの対策として、柳氏は専門医として適切な情報提供の必要性を述べるとともに、短時間で安全性の高いテーラーメイド手術、安全で確実な日帰り手術を提案した。
 そけいヘルニアは患者の状態や病態により多様に存在しており、だからこそ同院では、患者の病態に合わせたテーラーメイド手術を実践しているという。開腹手術、腹腔鏡手術を写真や動画で実際の様子や症例を紹介したのちに、柳氏はこれまでの手術法のメリットが含まれた新たな術式「ONSTEP法」を発表した。これはそけい部ヘルニアに対する開腹手術であり、筋肉や筋膜の層を跨ぐ外科医にとって新しい概念の手術法である。ONSTEP法により手術時間の短縮、高い安全性が実現し、日帰り手術が可能な手術と言える。ONSTEP法は2016年11月より本邦でも行われており、柳氏の同院でも2017年1月に導入し、2年間の367例の施行の成績を「長期成績はまだ結果を待つ必要があるが、短中期成績としては良好な結果であった」と日本で初めて報告している。ヨーロッパでは広がりを見せているONSTEP法だが、2016年より始まった本邦では現在でも10か所の施設でしか行われていないと柳氏は語る。今後の普及に期待したい。

柳 健氏
医師がトレーニングで使用する人体模型。ONSTEP法をシミュレーションして実演する様子