エレクタ株式会社(以下、エレクタ)は、千葉大学医学部附属病院(千葉市中央区)から、複数の放射線治療機器を包括的に受注したことを発表した。
今回エレクタが受注した機器は以下のとおり。
⚫ 高磁場1.5テスラMRIガイド下放射線治療システム
Elekta Unity MRリニアックシステム 1 台
(治療開始予定時期:2021年春以降)
⚫ Versa HD™ リニアックシステム 2 台
(治療開始予定時期:2021年春以降)
⚫ フレキシトロンHDR(密封小線源治療装置) 1 台
(治療開始予定時期:2021年2月頃)
⚫ 放射線治療計画プログラムMonaco™
⚫ MOSAIQ®オンコロジーインフォメーションシステム
Elekta Unity MRリニアックシステム(以下、
Elekta Unity)は、特に画像診断で広く使用されている高磁場・高分解能な1.5 テスラMRI と、高精度デジタルリニアックが一体化した放射線治療機器である。従来のCT 画像によるIGRT ではなく、高磁場MRI によって治療直前および照射中に病変を可視化できるため、リアルタイムでその日の腫瘍と重要臓器の位置や輪郭をより正確に把握して、日々の状況に適応させた照射が可能である。この結果、近接する健常組織や重要臓器への有害事象を抑えながら、治療成績を改善できる可能性がある。また、随意・不随意運動をともなう軟部組織が実時間モニターできるため、腫瘍位置同定のためにマーカーを埋め込む必要もなくなり、患者さんの負担を軽減することができる。
Versa HD リニアックシステムはエレクタのデジタルリニアックシリーズの最上位機種で、IMRT / VMAT 治療をルーチンとして利用できる幅広い多用途性(Versatility)を備えている。放射線治療計画プログラム Monaco™との組み合わせによるHigh Definition Dynamic Radiosurgery(HDRS)テクノロジーは、複雑なSRSやSBRT治療を一般治療と同程度のおおよそ15 分以内で実施することを可能にする。
フレキシトロンHDRは、腫瘍内または腫瘍近傍にIr-192線源を一時挿入することで腫瘍に集中した線量の投与が可能な高精度放射線治療である、高線量率密封小線源治療のための装置である。
MOSAIQ®オンコロジーインフォメーションシステムは、部門および治療のワークフローを強化し、患者さんの治療全体におけるステップを円滑に管理する。
千葉大学医学部附属病院は、年間700 症例以上の放射線治療を行う、首都圏でも有数の医療機関であり、今後高精度放射線治療をさらに強化していくことによって、患者さん一人ひとりにあった個別化治療を行っていく。
大学病院として日本で初めてとなるElekta Unity の導入について、画像診断・放射線腫瘍学 教授 宇野 隆先生は「これまでの画像誘導技術は、照射直前のCT、照射中の体輪郭、X線透視あるいはマーカー追尾によるものだった。MRリニアックでは照射中(intra-fractional)に体内の腫瘍およびリスク臓器の動き、そして照射範囲との位置関係がほぼリアルタイムに明瞭に視覚的され、まさに『放射線治療中の体内が見える化』された画期的な画像誘導技術である。この技術を生かして難治がんの放射線治療に取り組んでゆきたいと思います。」と述べている。また、同病院技師長 桝田 喜正先生は今後の高精度治療に対する期待を以下のように述べている。「以前より開発中であったMRリニアックを新中央診療棟に導入することは私の夢でした。今回、MRリニアックシステムを日本で初導入することができ、大変興奮しています。一日も早くAdaptiveな放射線治療をルーチン化し、多くの患者さんに高精度な放射線治療を提供したいと思っています。」
エレクタ代表取締役社長 チャールズ・シャーネンは「近年がんの罹患数が増え続ける中、エレクタは高精度放射線治療の開発、普及に特に力を注いできました。この度、千葉大学医学部附属病院に、Elekta Unityを初めとする弊社の複数の放射線治療機器とソリューションの導入が決定し、高精度放射線治療を患者さんに届けることができることを大変光栄に思います。今後、病院と連携し、機器の設置、治療の開始に向けて注力をしていきます。」と述べた。
エレクタは今後とも高精度放射線治療ソリューションの大学病院への導入を加速させ、日本のがん治療に貢献していくとともに、事業の拡大をさらに図っていく。
●お問い合わせ
エレクタ(株)
URL: https://www.elekta.co.jp/