富士フイルム、内視鏡診断支援機能「CAD EYE™」を新発売!

2020.10.27

AI 技術を活用して大腸ポリープ等の病変のリアルタイム検出・鑑別を支援

 富士フイルム(株)(以下、富士フイルム)は、AI 技術※1を用いて大腸内視鏡検査時におけるポリープ等の病変の検出および腫瘍性※2もしくは非腫瘍性※3の鑑別を支援する内視鏡診断支援機能「CAD EYE™(キャド アイ)」※4を搭載したソフトウェア「EW10-EC02」を、富士フイルムメディカル(株)を通じて11月30日より発売する。

 「CAD EYE」は、同時に発売する機能拡張ユニット「EX-1」に「EW10-EC02」をインストールすることで、富士フイルムの内視鏡システム「ELUXEO 7000 システム」、「LASEREO7000 システム」、および「6000 システム」を活用した下部消化管用スコープ※5での検査時に使用することができる。

 大腸がんは、がんの中でも罹患者数第1位、死亡者数第2位※6と、高い割合を占めている。しかし、初期のがんであれば内視鏡手術や外科手術で切除できる可能性が高く、早期発見が重要とされている。
 大腸がんの検査は内視鏡検査が一般的だが、平坦な病変や微小な病変は発見が難しく、発見率を向上させることが課題となっている。また、切除する必要性が比較的低いとされる非腫瘍性の病変の切除件数を減らすことは医療費削減につながるため、内視鏡検査による正確な大腸ポリープ診断が求められている※7、※8
 富士フイルムは、この課題に対し、波長の異なる複数の光の発光比率を変えて臓器の粘膜表層の微細な血管や構造などを強調して表示する機能「BLI」※9や、画像の赤色領域のわずかな色の違いを強調して表示する機能「LCI」※10などの画像強調機能を用い、炎症の診断や微小な病変の発見をサポートする内視鏡システムを提供してきた。
 今回提供する「CAD EYE」は、これらの画像処理技術を基に培ったAI 技術を活用して、大腸ポリープ等の病変の検出および鑑別をサポートする内視鏡診断支援機能である。CAD EYE を使用した際に内視鏡専門医並みの検出および鑑別ができることを目指して開発された。

「CAD EYE」の特長
 CAD EYE は大腸ポリープ等の「病変検出支援機能」と「疾患鑑別支援機能」で構成される。
① 病変検出支援機能
・病変検出支援機能は、内視鏡画面内にポリープ等の病変と疑われる箇所を検出すると、対象のエリアを枠で囲って表示するとともに、検出音を鳴らすことで医師の検出をサポート。また、検出した病変と疑われる箇所に近い内視鏡画面の外縁が点灯し、検査時の医師の視線移動を抑える。
・主にスクリーニングの目的で使用される白色光およびLCI モードでの観察中に自動で起動するため、通常の内視鏡観察のワークフローの中で自然に使用できる。

CAD EYE 病変検出支援機能 (※本画像は、一部を加工したイメージ画像です。)

② 疾患鑑別支援機能
・疾患鑑別支援機能は、ポリープ等の病変と疑われる箇所について、腫瘍性もしくは非腫瘍性の鑑別結果を表示することで、医師の診断をサポートする。
・鑑別結果が腫瘍性の場合には黄色、非腫瘍性の場合には緑色と、鑑別結果により異なる色を内視鏡画面の外縁に表示するとともに、鑑別を行っている位置を示す「ポジションマップ」を内視鏡画面の脇に配置し、医師の視線移動を抑えるとともに視認性の高いデザインとしている。
・主に鑑別の目的で使用されるBLI モードでの観察中に自動で起動するため、通常の内視鏡観察のワークフローの中で自然に使用できる※11

CAD EYE 疾患鑑別支援機能(※本画像は、一部を加工したイメージ画像です。)

 これら2 つの機能は、内視鏡観察時にリアルタイムで作動し、画面静止操作や拡大操作など追加の操作をすることなく使用できる。また、処置時など、検出・鑑別機能が不要な時は手元の内視鏡スコープのスイッチで簡単にオン・オフの切り替えが可能である。

 富士フイルムは、医療画像診断支援、医療現場のワークフロー支援、そして医療機器の保守サービスに活用できるAI 技術の開発を進め、これらの領域で活用できるAI 技術を、“REiLI(レイリ)”というブランドで展開している。内視鏡システムにおいては、「CAD EYE」での検出・鑑別だけでなく、検出した情報を国内特定機能病院層トップシェア※12の当社内視鏡情報管理システム「NEXUS(ネクサス)」に自動で転記し、検査レポート作成を支援するなど、内視鏡診断のワークフロー全体を支援するAI ソリューションの提供を予定している。
 富士フイルムは、今後もさまざまな医療現場のニーズに応え、検査の効率化と医療の質の向上、人々の健康維持増進に貢献することを目指す。
 
 
※1 AI(人工知能)技術のひとつであるディープラーニングを設計に用いた。導入後に自動的にシステムの性能や精度が変化する
ことはない。
※2 早期がんやがんの前段階(前がん病変)であり、一般に切除する必要があると考えられるポリープ。
※3 腫瘍ではなく、一般に切除する必要がないと考えられるポリープ。
※4 「CAD EYE™」は富士フイルムがAI 技術を用いて開発した内視鏡におけるコンピュータ自動診断支援 (CAD) 機能のブランド
名称。当社は現在CAD EYE の商標登録申請中。
※5 CAD 機能対象スコープは、700 システムスコープ(下部消化管用)、L600 システムスコープ(下部消化管用)、6000 システム
スコープ(下部消化管用)。
※6 国立がんセンター がん情報サービスより。
(https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/stat/summary.html)
※7 Ladabaum U, Fioritto A, Mitani A, et al. Real-time optical biopsy of colon polyps with narrow band imaging in community practice does not yet meet key thresholds for clinical decisions. Gastroenterology 2013;144:81–91.
※8 Rees CJ, Rajasekhar PT, Wilson A, et al. Narrow band imaging optical diagnosis of small colorectal polyps in routine clinical practice: the Detect Inspect Characterise Resect and Discard 2 (DISCARD 2) study. Gut 2017;66:887–95.
※9 「Blue Light Imaging」および「Blue LASER Imaging」の略。
※10 「Linked Color Imaging」の略。
※11 鑑別支援モードは設定により白色光でも使用可能。
※12 台数ベース。富士フイルムメディカルIT ソリューションズ株式会社調べ(2020 年9 月16 日時点)。
 
 
 

1.製品名
・ソフトウェア
販売名:内視鏡検査支援プログラム EW10-EC02
承認番号:30200BZX00288000
・汎用PC
製品名:機能拡張ユニット EX-1

2.発売日
2020 年11 月30 日

3.主な特長

(1) 内視鏡検査に寄り添った操作性

・白色光およびLCI 観察モード時には「病変検出支援機能」が、BLI 観察モード時には「疾患鑑別支援機能」が自動で起動するため、CAD EYE 機能を使用するための追加操作は不要です。

・フリーズ操作 (撮影のために動画を静止させる操作) や拡大操作など追加の操作も不要です。

(2) CAD EYE 機能専用のモニターやスコープを必要としないシステム構成

・現在販売中の「ELUXEO 7000 システム」、「LASEREO7000 システム」および「6000 システム」の下部消化管用スコープでCAD EYE 機能を使用いただけます。

・内視鏡モニター上に検出・鑑別結果を表示するため、CAD EYE 機能専用のモニターを設置する必要がありません。

(3) 内視鏡画面の妨げにならず、視線移動を最小に抑えた直感的なインターフェースを追求

・病変検出支援機能:
ポリープ等の病変を検出した際に検出音と共に検査画面内に検出ボックスをリアルタイムに表示します。
さらに病変が検出された箇所に近い外縁が点灯するため、検査時の医師の視線移動を抑えます。

・疾患鑑別支援機能:
鑑別結果が腫瘍性の場合には黄色、非腫瘍性の場合には緑色と、鑑別結果により異なる色を内視鏡画面の外縁に表示するとともに、内視鏡画面脇に配置したポジションマップに鑑別を行っている位置を示すことで、内視鏡画面から目を離すことなく鑑別結果を確認することができます。

●お問い合わせ
富士フイルムメディカル株式会社