島津製作所は2月10日、ヴィルヘルム・レントゲン博士の命日に、第99回「レントゲン祭・記念講演会」を開催した。「AIに見る未来に向けたRadiologyのパラダイムシフト」をテーマに、今後の進展が予想される、AI技術の実装について発表した。
はじめに、青山功基氏(常務執行役員医用機器事業部部長)が式辞を述べた。
青山氏は、レントゲン博士の功績を述べ、X線画像診断分野で進む、AI技術を言及。今後、「AI技術の積極的な活用に挑戦していく」と語った。
続いて、上田輝久氏(代表取締役社長)は、レントゲン博士によるX線の発見で、X線撮影法が開発、「病気の早期診断に活躍した」と話す。さらに、人体の断面が撮影できる、X線CTにより、「多くの人々を病気から救い、幸福をもたらしている」と述べた。
式典に続き、「AIがみせる未来の放射線医療」と題し、佐保辰典氏(小倉記念病院 放射線技師部)が技術講演を行った。
佐保氏は、島津製作所のAI開発事業に触れ、AIの必要性と今後について論じた。
AI画像処理を活用した、島津製作所の製品「トモシンセシス」は、「対象となる部位の抽出と画像再構成パラメーターの最適化をAIに委ねることで、空いた時間を次の検査の準備や情報収集など、別のことに時間が使える」と説明。今後、AIと人間の棲み分けが進んでいくと予想した。
最後に、「医療におけるAIの現状と未来~医療の中で正しく活用していくために~」と題し、植田琢也氏(東北大学医学研究科 画像診断学分野 東北大学病院AI Lab)が臨床講演を行った。
植田氏は、「AI医療研究は、医療的側面から見直す時期に来ている」とし、「医療現場にもデザイン思考が必要だ」と主張した。
また、医療現場では読影医の不足により、乳癌健診の精度が活かせていないと話す。そこで、AIを導入すれば、読影医の「読む手間を減らす」ことが可能となると予想。今後は、AI活用のためには、医療AI人材育成が重要だと強調した。