中谷医工計測技術振興財団(以下、中谷財団)による長期大型研究助成の贈呈式ならびに記者会見が2月16日に日比谷国際カンファレンスにて行われた。
中谷財団は「表彰事業」と「助成事業」の2つの事業を行っている。今回は医工計測技術分野の若手研究者の育成を目的とした最上位の研究助成プログラムで、長期大型研究助成(最大で年間6,000万円を5年間、総額3億円)の贈呈式が行われた。
同助成の対象には、①先進的かつ既存の枠を超えた融合的な研究。新しい技術、学術、応用分野を開くこと。②目先の技術開発、商品化ではなく将来的な実用化、広がりを見据えた研究。③異聞や融合的な異分子を持つグローバルで活躍できるような研究。であることが条件となる。
4回目の贈呈となる今回は、国立研究開発法人 量子科学技術研究開発機構(以下、QST) 山谷泰賀氏による「未来PET創造研究ユニット(仮称)」、研究題目「利用可能なすべての放射線を画像診断に役立てる『全ガンマ線イメージング』への変革」が採択された。
平野俊夫氏 (QST理事長)は「今回採択されたのは、山谷らが開発する全ガンマ線イメージングWhole Gamma Imaging(WGI)である。これは継続可能な放射線すべてを画像化に活かすという独自のコンセプトの元、少ない被ばく量で全身の自律神経、代謝、免疫等の機能を一度に併用的に画像化する世界初の試みであり、非常に挑戦的である」と述べた。
また、山谷氏は「アメリカで初めてPETが開発されたのが1975年。そこから46年経ったが、我が国ではCTに比べ、PET国内普及はまだまだ少なく、必要としている人に十分に届いていないのが現状である。私たちはそろそろ次代のPETを開発したい。そのためにはWGIの実現を目指すことで、がんの早期治療や認知症との共生に役立てていきたい」と語った。
平野俊夫氏
山谷泰賀氏