バリアンメディカルシステムズ、AIを用いて治療直前の臓器位置に適応した放射線治療を提供する「ETHOS™ Therapy」が国内3施設で運用開始
株式会社バリアン メディカル システムズ(本社:東京都中央区、代表取締役:ケネス・タン)は、2022年4月から国内3施設において、AIを用いて治療直前の臓器位置に適応した放射線治療を提供する「ETHOS™ Therapy」を用いた治療が開始されたことを発表した。
「ETHOS Therapy」は毎回の位置決め画像とAIを用いて、日々変化する患者の解剖学的特徴、腫瘍の位置や形状変化に合わせ、放射線治療計画を最適化し、再治療計画を支援することで、放射線治療における個別化医療を推進する。
放射線治療は多くの場合、数日から数週間にわたって行う。そのなかで、これまで、強度変調放射線治療(Intensity Modulated Radiation Therapy: IMRT)や画像誘導放射線治療(Image-Guided Radiation Therapy: IGRT)の導入により、腫瘍への線量集中性を高め、周囲の正常組織への線量低減を行ってきたが、毎回の照射の都度、日々変化する患者の解剖学的特徴、腫瘍の位置や形状変化に合わせ、放射線治療計画を最適化し、再治療計画を行う適応放射線治療(Adaptive Radiotherapy: ART)は、その作業が複雑で時間がかかるため、毎回の照射の都度に行うことは実用的ではなかった。
それを「ETHOS Therapy」では、適応放射線治療を標準的治療時間内で実施できることを開発コンセプトに、AIを活用した治療計画作成機能とコンツーリング機能を組み合わせた、適応放射線治療ワークフローソリューションを実現。まず、あらかじめ定義されたテンプレートで医師が治療目標を定義し、この定義に基づいて最初の治療計画が作成される。治療時は患者の解剖学的特徴および腫瘍の形状と臓器位置の変化に適応するように治療計画が変更され、患者を治療台に載せたまま、適応放射線治療を提供することができる。
運用を開始した施設から、九州大学大学院医学研究院臨床放射線科学分野教授の石神康生先生は「国内で先駆けてETHOSによるadaptive radiotherapyを開始した。ETHOS TherapyはAI技術により標準的な治療時間枠でadaptive radiotherapyが実施でき、将来のスタンダードとなりうる治療法だ。前立腺癌に対して開始し、今後他部位への治療も検討している」と述べ、「今後のAIを含めた技術開発により、様々な疾患・部位で効率的にadaptive radiotherapyを施行できれば、放射線治療のさらなる成績向上・有害事象低減につながるだろう」と期待を寄せていた。また、鹿児島大学大学院医歯学総合研究科先進治療科学専攻腫瘍学講座放射線診断治療学分野教授の吉浦敬先生は「装置のアクセプタンス後、2週間という短い期間でCBCTを用いた即時適応放射線治療を開始した。約3か月の間に様々な部位に対して、1日平均15(最大20)症例を標準治療時間内で実施できており、現在までに累積約50症例を経験している。随所にAIを活用したワークフローデザインは、即時適応放射線治療を受ける患者さまのメリットはもちろんのこと、使う側のタスク軽減にも貢献している。今後、より多くの患者さまへETHOSによる個別化治療をご提供できるよう、バリアン社と共にさらに改良を進めていきたい」と述べた。さらに、京都大学大学院医学研究科放射線腫瘍学・画像応用治療学教授の溝脇 尚志先生は「2年前にバリアン社のリング型ガントリであるHalcyon™を導入した。ETHOSのリリース後、Halcyonに即時適応放射線治療の機能を追加し、ETHOSを導入した。このような将来性のあるコンバージョンができるのはバリアン社の素晴らしいところである。すでにETHOSでの臨床を開始しており、現在、膵癌に対する即時適応放射線治療の検討を進めている」と述べ、「即時適応放射線治療はまだ開始されたばかりの治療であり、機能開発・改善と並行して世界で臨床データの集積が進んでいる。今後、国内においても知見の集積とあわせて有用性の検証を行っていく必要がある」と加えた。
「ETHOS Therapy」 の詳細については、下記のリンクを参照
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