東北大学と富士通が提携~ウェルビーイング社会の実現に向けて~

2022.09.28

 2022年9月26日、東北大学と富士通株式会社(以下、富士通)は、ウェルビーイング社会の実現に向けて戦略提携することを発表した。ヘルスケア領域から地域へ、そして日本全体から世界へと、誰もが活躍できるサステナビルな未来を目指して展開する。

 冒頭に大野英男氏(東北大学総長)が、東北大学のこれまでの歴史と実績、今後のコネクテッドユニバーシティ戦略の構想を語った。続いて冨永悌二氏(東北大学病院長)が、社会共創の場として仙台市街に開設する国内最大級のサイエンスパークについて紹介し、東北大学病院の目指す産学連携・東北大学の医療資産の有効活用の場となると話した。最後に堤 浩幸氏(富士通執行役員SEVP JapanリージョンCEO)が、持続可能な社会をもたらすOur Purposeという理念と、ウェルビーイング社会実現に向けたEcosystemという富士通の技術について紹介した。

 両者の提携により、自律的な健康活動を支援するサービスと日常生活をシームレスにつなぎ、テクノロジーにより誰もが自律的な意思決定を行い、イキイキと活躍できる世界を目指す。

 具体的には、富士通の電子カルテのノウハウを生かし、電子カルテに蓄積された情報を統合して病床使用率の把握と将来の予測に役立て、病院運営を効率化・最適化する。また、診療情報や患者が装着するウエアラブルデバイスにより患者の状態を正確に把握することで投薬や手術に役立てる構想が、東北大学病院で2024年度より実用化する。また、個人の生活データから健康状態を割り出し早期受診につなげるAI(人工知能)の開発や、製薬メーカー・保険会社への情報提供などへのサービスにつなげる。

 このようなサービスの開発にはエコシステムなしでは進められないと語る堤氏は、都市情報を可視化・分析するサービスを手がけるヘキサゴン(ストックホルム)と提携し、仮想空間上への交通状況再現のシステムなどを共同開発すると、今年6月に発表している。

 このたびの東北大学と富士通との戦略提携は、医療分野に限らず包括的なものであり他分野でも共同研究の可能性を探る試みとなる。外部から専門的な知見を積極的に取り入れることで、多様な価値観に対応する持続可能なサービス開発につなげ、ウェルビーイング社会の実現を目指す。