株式会社ノバケア(本部︓東京都港区、社⻑︓岡本 茂雄、以下 ノバケア)とコニカミノルタ株式会社(本社︓東京都千代⽥区、社⻑︓⼤幸 利充、以下 コニカミノルタ)は、介護分野での協業に合意し、ノバケアの⾃⽴⽀援介護リハビリAIとコニカミノルタの「HitomeQ(ひとめく)ケアサポート」のシステム連携を進める。これにより、介護サービス利⽤者のリハビリテーション(以下 リハビリ)への効果的な適⽤が可能となり、⾼齢者のADL1(Activities of Daily Living︓ ⽇常⽣活動作)の向上に貢献する。
【背景と狙い】
超⾼齢社会を迎えた⽇本の介護に関する様々な社会課題が急増する中で、⾼齢者の⾃⽴を促進 し、要介護度の悪化を抑制することは⼤変重要です。そのためには、⾼齢者⼀⼈ひとりの状態像 を正しく把握し、その⽅に最適なケア・リハビリを提供することが必要となる。状態像をよ り正確に把握する⽅法として、近年、科学的アプローチが注⽬されており、2021年度の介護報酬 改定で科学的介護情報システム(LIFE2)が導⼊されたことからも、介護現場における⾼齢者のADL評価(アセスメント)の重要性が⾼まっている。
ノバケアは、要介護者の状態像の現状と、リハビリテーションを含む介護の実施状況からの予後予測、状態像の現状と近未来の⽬標状態から最適な運動習慣・栄養摂取・社会参加・リハビリテーション・ケアプランの作成⽀援を、⼤規模データの機械学習により科学的裏付けをもっておこなうサービス事業を開発している。コニカミノルタは、独⾃の画像センシング技術と、介護現場の知恵や経験を融合して「HitomeQケアサポート」を開発し、介護施設の課題分析をはじめ
として、ICT環境の導⼊とオペレーション定着、さらに、今後より期待される科学的介護や個別ケア実現に向け、⾏動認識AI技術を活⽤し、介護施設の業務をトータルに⽀援している。
この度の協業では、AIが最適なリハビリメニューを提案するノバケアの⾃⽴⽀援介護リハビリAIに、「HitomeQケアサポート」の⾏動分析センサーに搭載された画像認識AIによる介護施設居室や⾃宅などの⽣活空間でのアセスメント結果を取り込み、ADL改善に向けた最適リハビリプランを状態像の変化に応じ、適時、作成する総合システムの共同開発をおこないます。これにより、従来のリハビリ室での⽬視のみによるアセスメントから、⽣活空間での⽇常⽣活の動作を基にしたアセスメント結果を利⽤した最適リハビリプランを提供できるようになり、⾼齢者のADL向上に貢献する。
両社は、ADLの向上を通じて、より良い介護の実現と、⾼齢者のQOL3(⽣活の質)向上をめざす。
【両社の技術】 1.ノバケア︓リハビリと⽇常⽣活をつなぐ⾃⽴⽀援介護リハビリAI ノバケアは、作成する療法⼠ごとに効果にバラつきが⽣じるリハビリメニューについて、誰が 作成しても⾼い効果を得られるよう、⾃⽴⽀援介護リハビリAIの開発をおこなってきた。利 ⽤者のADL評価の指標であるバーセルインデックス4(BI : Barthel Index)を⼊⼒することにより、最適なリハビリメニューの提案と、リハビリメニューを実施した際に到達するADLの予測をおこないます。これにより、リハビリの実施によって利⽤者が得られる、近未来の⽣活像をも具体化し、利⽤者のリハビリへの意欲を⾼める効果も期待できる。
また、療法⼠が利⽤者個⼈にあわせてAIの策定したリハビリメニューを変更し、そのメニューでの予測ADLを利⽤者に提⽰することが可能で、合意形成を円滑に進めることができます。これにより、利⽤者のモチベーションの向上をもたらし、リハビリを⾃律的に進めることにより、リハビリの効果をさらに⾼める。
2.コニカミノルタ︓介護現場の働き⽅を変える「HitomeQ ケアサポート」
「HitomeQ ケアサポート」は、居室の天井に備え付けた⾏動分析センサーで⼊居者の⾏動を解析し介護スタッフのスマートフォンに映像とともに通知、転倒事故発⽣時にエビデンス映像の⾃動記録、ケア実施後すぐにスマートフォンで簡単⼊⼒できるケア記録などの機能を備えている。
これにより、介護スタッフのワークフローを変⾰し、業務を効率化させることで余裕時間を⽣み出し、⼊居者のQOLを向上する充実した介護の実現に貢献している。
さらに、コニカミノルタは天井の⾏動分析センサーの映像を画像処理することで、毎⽇24時間、⼊居者の居室内での⾏動を数値化して蓄積するとともに、ベッド周りの姿勢推移から歩⾏や移乗といった⾝体機能のアセスメントを⾃動でおこなう機能を開発しました。これにより、歩⾏速度や活動量といった⾏動指標を⽇常的かつ連続的にとらえて⽐較したり、アセスメント結果の推移を確認することで、⽣活空間における⼩さな変化を発⾒することが可能である。
【協業が⽣み出す価値】
1.実際の⽣活空間のADL評価によるリハビリプランで効果向上
「HitomeQ ケアサポート」を⾃⽴⽀援介護リハビリAIに連携することで、従来の病院や介護施設のリハビリ室や検査室でのADL評価のみで策定するリハビリプランから、テレビやテーブルなどのADL阻害要因が共存する実際の⽣活空間(介護居室や⾃宅)におけるADL評価に基づくリハビリプランを策定することが可能になり、実際に⽣活している空間でのADLの改善を実現する。
今後は、「HitomeQケアサポート」によるBIの⾃動判定、およびこのBIのデータの⾃⽴⽀援介護リハビリAIへの⾃動取り込みとリハビリプランの⾃動策定の開発を予定している。さらに、1⽇の活動量、⽇常⽣活での歩⾏状態、転倒時の状況を「HitomeQケアサポート」で把握し、⾃⽴⽀援介護リハビリAIを通じて迅速なリハビリプランに反映することで、活動量・筋⼒の増加、転倒予防に繋ぐことが可能になり、ADLの状態と転倒の状況を明確にし、転倒原因の分析と、それを防ぐ⽣活提案も可能になると考えている。
2.ADL変化に即時対応した適切なリハビリプランの策定
毎⽇24時間稼働している「HitomeQ ケアサポート」により、⽇々変化するADLを⽇常⽣活空間で即座にとらえ、⾃⽴⽀援介護リハビリAIに反映させることで、迅速なリハビリプランの変更が実現できます。従来のリハビリ室のみでのアセスメントでは難しかった、緩慢なADL低下や急変をとらえることが容易になり、このようなケースにおいてリハビリの効果、悪化予防の効果などの点で⼤きく改善でき、介護施設や⾃宅でのリハビリの進化に寄与できるものと考えている。
将来的には、ノバケアが展開するフレイル予防、MCI(軽度認知症)予防、⽣活習慣病予防などのAIと、「HitomeQケアサポート」の⾏動分析センサーの連動により、介護分野のみならず⾼齢者の虚弱化予防、⾃⽴⽀援全般の⽀援のためのAIシステムの提供をめざす。
3.施設スタッフの業務負担を⼤幅に削減
この度の協業では、⽇常⽣活におけるアセスメントという業務を⾃動化することにより、その実⾏密度を⾼めつつ、施設スタッフの業務負担を⼤幅に削減することも⽬的のひとつとしている。⾃動アセスメントとそれに基づくケア・リハビリ計画の策定は、介護施設や病院のリハビリにおいてDX(デジタルトランスフォーメーション)をもたらし、⼤幅な効率化を実現するものと考えている。
これからも両社は、介護に関する社会課題をDXで解決するために、お互いのテクノロジーを活⽤しながら⾃社の強みをさらに強化し、協業のシナジーを⾼めていく。
※1 ADL︓Activities of Daily Livingの略。最低限の⽇常⽣活が⾃⼒でどの程度おこなえるかを⽰すもので、寝返り、起き上がり、更⾐、⾷事、排尿、排便、⼊浴、移動、階段昇降などの動作のこと。
※2 LIFE︓Long-term care Information system For Evidenceの略。厚⽣労働省が運⽤する、介護サービス利⽤者の状態や、
介護施設・事業所でおこなっているケアの計画・内容などを⼀定の様式で⼊⼒すると、インターネットを通じて厚⽣労働省へ
送信され、⼊⼒内容が分析されて、当該施設等にフィードバックされる情報システム。
※3 QOL︓Quality of lifeの略。
※4 Barthel Index︓ADLを評価する⽅法のひとつ。⽇常⽣活に関する全10項⽬の動作について、それぞれ「⾃⽴」「部分介助」
「介助」のいずれの状態か判断し点数付けする。
お問い合わせ
株式会社ノバケア
E-mail︓t.segawa@novuscare.biz
担当︓ 瀬川 武男 Tel 03-4595-0154
コニカミノルタ株式会社 広報部
北 陽⼦ Tel︓070-3669-8853