武田薬品オンラインセミナー、―がんになっても“誰一人取り残されない社会”を作るために―開催!

2023.02.13

 武田薬品工業株式会社は、2023年1月27日(金)、「がんになっても“誰一人取り残されない社会”を作るために~がん患者さんとご家族への心理的・社会的支援を考える~」と題してオンコロジーメディアセミナーを開催した。

 はじめに、池内利行氏(同社日本オンコロジー事業部ペイシェントアドボカシー・コミュニケーション部長)と天野慎介氏(一般社団法人全国がん患者団体連合理事長)は、開会のあいさつを行った。
 池内氏は、「今回のセミナーでがん患者の精神的支援についての理解を深めるために、がん相談支援センターの活用方法について具体的な例を交えながら、より実践的な議論や情報交換の場を設けたい、多くの方に知ってもらえるようにしたい」と語った。

 天野氏は、27歳の時に血液がんの悪性リンパ腫と診断され、薬物療法などを経験した。この経験を活かして、がん患者相談支援活動に20年携わり、医療機関や教育機関、企業や学会等での講演会も行っている。

天野慎介氏(一般社団法人全国がん患者団体連合理事長)

 大西秀樹氏(埼玉医科大学国際医療センター精神腫瘍科教授)は、「がん患者さん・ご家族の精神心理的支援の必要性」と題して講演を行った。
 同氏は、「メンタルケアの専門家である精神科医(精神腫瘍医)が多い国の1位は日本(2,000人)、2位はアメリカである。日本は精神科医が多いにもかかわらず、知っている一般人が少ないのが改善点だ。がん患者のうつ病に気付くポイントとして、倦怠感や食欲不振、意欲が低下するなどのさまざまな症状がないかを患者さんに詳しく聞くことにより、うつ病であるという事が発覚する。医療に携わっている人々もがん患者さんにより深く話を聞くことが大事だということを知っておかなければならない」と言及していた。

大西秀樹氏(埼玉医科大学国際医療センター精神腫瘍科教授)

 続いて、坂本はと恵氏(国立研究開発法人国立がん研究センター東病院サポーティブケアセンター/がん相談支援センター)は、「がん相談支援センターの役割と現状」について講演を行った。

「我々は、1.“ひとりも取りこぼすことなく“の実現のために、2.経験者から学び、明日からの臨床に活かす、3.マンパワーの軽量化という視点も重要、4.多職種連帯、社会協働で“知らなかったが故の不利益”を減らす、を実現し、どういった事が患者の問題になっているかを知ることが重要だと考えている。がん相談支援センターは全国に453施設あるが、平成30年の国立がん研究センターの患者体験調査において、認知率は66.4%に対して利用した人はわずか14.1%である結果について、患者さんに伝えることが大事だと思っている」と語った。

坂本はと恵氏(国立研究開発法人国立がん研究センター東病院サポーティブケアセンター/がん相談支援センター)