富士フイルムヘルスケアと千葉大学、次世代CT 装置「フォトンカウンティングCT」の臨床有用性を評価する共同研究を開始

2023.03.29

 富士フイルムヘルスケア株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社⾧:山本 章雄)と国立大学法人千葉大学(本部所在地:千葉県千葉市、学⾧:中山 俊憲)は、次世代CT 装置「フォトンカウンティングCT(Photon Counting CT、以下PCCT)」の臨床有用性を評価する共同研究を本日より開始した。本研究は、富士フイルムヘルスケアが開発したPCCT を用いて撮影した組織のデータを収集・検証し、組織内出血やがんの早期発見の可能性などを検討するものである。

共同研究の背景

 PCCT は、X 線のフォトン(光子)一つひとつを個別に計測し、電気信号に直接変換して画像を生成する次世代CT 装置である。従来のCT 装置は、まず格子状に区切られた蛍光体(シンチレータ)でX 線を可視光に変換し、さらにその光をフォトダイオードで電気信号に変換することで画像を生成する。一方PCCT は、半導体素子でX 線のフォトンを電気信号に直接変換し、各フォトンのエネルギーを検出することで画像を生成する。従来のCT 装置が各フォトンのエネルギー値を積算して得るのに対して、PCCT は各フォトンのエネルギー値を個別に取得するため、そのエネルギー値の違いにより撮影した物質の性状の詳細な把握を可能とし、鑑別精度の向上などが期待できる。また、エネルギー変換効率の向上による線量低減や、画像の高精細化による検出能アップも見込めるため、精度の高い診断や治療効果の判定にも活用が可能である。画像から定量化した物質の弁別情報※1 を予防医療にも応用できることから、予防・診断・治療の幅広い領域でPCCT の利用が期待されている。

※1 各フォトンのエネルギー値を個別に取得することで弁別された軟組織、脂肪、石灰分など組織の組成情報。

共同研究の概要

 富士フイルムヘルスケアと千葉大学は、本日、富士フイルムヘルスケアが開発したPCCT を千葉大学の法医学教育研究センター内に設置し、PCCT の臨床有用性を評価する共同研究を開始した。富士フイルムヘルスケアのPCCT と千葉大学が⾧年培ってきた画像診断・病理・歯科・薬物などに関する知見、研究設備を用いて、PCCT で撮影した画像から成分弁別や定量測定を実施される。人体組成がどの程度、画像化および定量化できるかを検証し、組織内出血やがんの早期発見の可能性を検討されるだろう。

PCCT 設置画像

富士フイルムヘルスケアについて

 富士フイルムヘルスケアは、お客さまの潜在的ニーズに応える総合医療機器メーカーとして、画像診断システム(CT、MRI、X 線診断装置、超音波診断装置等)や電子カルテ等の研究開発・製造・販売・保守サービスを手掛けている。1975 年に国産初のCT 装置を発売して以来、グローバルにCT 装置を供給している。今後も、「ヘルスケアに新たな価値を創出し、人々が笑顔で健康に暮らせる社会に貢献します」という企業理念のもと、健診から診断、治療まで幅広い領域で、新たな価値を生み出し、医療の発展と人々の健康の維持増進に貢献していくだろう。

千葉大学について

 千葉大学は、10 学部17 大学院を持つ総合大学として学部の枠を越えた幅広い教養と高度の専門性を修得できるアカデミア環境を整備している。研究面では、2022 年度から国際高等研究基幹を新たに発足させ、学問の多様性を尊重しつつ、新たな研究領域の開拓につながる学術研究や、社会に変革をもたらす先端的研究を戦略的に推進するとともに、次世代を担う若手や中堅の研究者支援を強化し、研究人材育成に力を注いでいる。さらに、学術研究・イノベーション推進機構(IMO)を中心に、産官学連携を強力に推進していくだろう。

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