金原出版『患者さんのための胃がん治療ガイドライン2023年版』出版記念
「胃がんの標準治療の今—開発の歴史と今後確立が予想されるエビデンス」に関するセミナーを開催

2023.04.05

 2023年3月31日、金原出版は『患者さんのための胃がん治療ガイドライン 2023年版』の発売を記念して、作成委員長の寺島雅典氏(静岡県立がんセンター医居外科副院長)によるセミナー「胃がんの標準治療の今——開発の歴史と今後確立が予想されるエビデンス」を開催した。本書は2004年の「胃がん治療ガイドラインの解説」以来、実に19年ぶりの改訂となる。

 セミナーでは、「胃がんの標準治療開発の歴史」、「現在の胃がんの最新標準治療」、「今後確立が予想されるエビデンス」の3つについて主に講演された。

寺島雅典氏(静岡県立がんセンター医居外科副院長)

 この約20年間の胃がん治療の進歩には目覚ましいものがあり、内視鏡的切除に関しては2cm以下の粘膜内がんに対してのみ内視鏡的粘膜切除術が推奨されていたが、現在では一部の未分化型がんを含めてより多くの早期胃がんに推奨されている。

 外科手術でも当時は開腹手術が標準治療とされ、一部では拡大手術も推奨されていたが、現在では腹腔鏡手術が標準治療として推奨され、更にはロボット支援手術も推奨されるようになっている。薬物治療の進歩は更に著しい。

 今後確立が予想されるエビデンスとしては、低侵襲手術として腹腔鏡下手術のエビデンスが蓄積されており、進行胃がんに対しても適応が可能となりつつあることが語られた。

患者さんのための胃がん治療ガイドライン 2023年版(金原出版)

 しかし一方で、治療の進歩に伴い、多様で複雑な治療法が様々提供されるようになったことで、患者には余計に理解が難しくなった。また、患者が普段直接目にするインターネット上では様々な情報が溢れており、不適切・不正確な情報も数多く存在する。そうした情報過多の世の中、患者へ正しく適切な情報を提供するために制作された本書は、現在、そしてこれからの胃がん患者にとっての貴重で信頼できる情報源となることが期待される。