島津製作所は、5月31日にBiomaneo社(所在地:フランス 、代表者:郡山 邦彦)を完全子会社化したと発表した。同社は臨床分野に強みを持つソフトウェア・試薬キット会社だ。同社欧州子会社であるShimadzu Europa GmbH(SEG)は、2020年より、Biomaneo社と新生児スクリーニング検査(NBS)に用いるソフトウェアの販売面で提携してきた。今回の買収は、臨床向けソフトウェア製品の獲得と、欧州体外診断用医療機器規則(IVDR)対応に長けたソフトウェア人材の確保が目的となる。
近年、臨床現場では血液検査を中心とする臨床化学検査用途で液体クロマトグラフ質量分析計(LCMS)の導入が増加している。また、病院では検査結果や検査時間などの情報を患者様の電子カルテと連携する病院内情報システム(Laboratory Information System、LIS)が普及しており、LCMSなどの検査装置にはLISとのデータ連携が求められている。従来は、装置をLISへ直接接続できない場合、ユーザーは手作業でのLISへのデータ転送作業や、個別に開発依頼したソフトウェアの購入による対応が必要だった。
Biomaneo社の製品は、LISと各種検査装置を繋ぐソフトウェアだ。同社が新たにBiomaneo社のソフトウェアをラインナップに追加することで、同社検査装置からLISへのデータ送信の自動化が可能になる。また、Biomaneo社の専門人材が、治験薬物モニタリング(TDM)など各種検査に対応したIVDR対応ソフトウェアの開発のほか、同社子会社であるAlsachim社製の試薬に対応した専用ソフトウェアの開発も担っている。
島津製作所ではこれまで、試薬会社の仏Alsachim社や島津ダイアグノスティクス(買収当時、日水製薬)を買収するなど、臨床向けの分析製品ラインナップを拡充してきた。NBSやTDMなどのLCMSを用いた臨床検査の需要は拡大すると見込まれている。中期経営計画(2023~2025年度)では、この検査事業を「メドテック事業」と位置づけた。島津製作所は、メドテック事業の強化に向けて、LCMS、全自動LCMS前処理装置「CLAM-2040」、マトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間型質量分析計「MALDI-8020/8030」とBiomaneo社のソフトウェア、Alsachim社や島津ダイアグノスティクスの試薬によるトータルソリューションの提供を進めていく予定だ。
Biomaneo社の詳細
社名 | : | Biomaneo,SAS |
代表者 | : | 郡山 邦彦 |
所在地 | : | 22B Boulevard Winston Churchill 21000 Dijon – France |
資本金 | : | 60,909EUR |
従業員数 | : | 8名 |
設立 | : | 2016年5月9日 |
Webサイト | : | https://biomaneo.fr/en/ |
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