働き方ノート Vol.18 からばく社

2023.06.21

技師とイラストレータの両立で夢の印税生活を!なのでTシャツ買ってください!

■ 仕事編

・診療放射線技師になった動機、やりがいとは?

 高校生の頃、特にやりたい事もなかったので、親に勧められて成り行きで診療放射線技師の養成学校に入学しました。そんな経緯でしたが、改めて考えると診療放射線技師の仕事は自分に合っていたと思います。複雑な機械の操作や、職人気質の強い仕事内容、体育会系じゃない人の割合が比較的多い業界な所も含めて。

・会社の概要、特徴など

 2020年の春から活動を始めました。主な活動内容はイラストや漫画、手書きアニメの制作、診療放射線技師をモチーフにした洋服やグッズをデザインして販売を行っています。「社」を名前に入れてさも会社のように活動していますが実はまだ個人事業主です。

 スタッフは今のところ自分しかいません。人を雇う余裕ができれば今後スタッフを募集するかもしれないです。

・起業してどうか?大変なところ、やりがいなど

 診療放射線技師としてフルタイムで働きながら空いた時間で「からばく社」の活動を行なっているため忙しいです。

 イラスト作成だけでなく、営業、依頼者との相談、経理、モデルの撮影・編集、すべて1人で行なっています。外注して減らせる仕事もない事もないのですが、まず仕事を振る側の自分がお願いしたい作業の実態を理解していないと適切な指示はできないと思い、自分でやれる事はやっています。普通に診療放射線技師として働いている時には触れる事のない知識が身につくので面白いです。

・不安や葛藤は?

 あんまり不安とか心配にならないタイプだと思います。不安要素や心配事への対策はしますが考えすぎてもしょうがないと常々思っています。どんなに準備しても想定外の事柄が起きるのが世の中なので、あんまりマイナスな事を考えるのに脳のメモリを割かないようにしています。ある意味楽観主義なのかもしれません。

・これからの展望

 当面の目標は知名度を上げて色んな人の目にとまる事です。どんなに面白い事やためになる活動をしていても、知られていなければやっていないのと同じだと考えています。事業内容の面では漫画やイラストにプラスして、アニメーションや動画編集を学んで表現の幅を増やそうと考えています。

・AIの台頭について

 描画アシストのついたイラストソフトやAIお絵描きソフトの普及により、誰でも簡単にそこそこ綺麗なイラストが描ける時代になってきました。これからはAIには再現の難しい絵柄の個性や描き手のセンスが重要視される時代になってくると思います。出版社さんや編集者さんが何かを作る際、イラストは是非「からばく社」に描いてもらいたい、と選んでもらえるような作家になれたらいいなと思います。

■ 副業編

・なぜ本業と副業の両立を?

 診療放射線技師としての収入に限界を感じていた事と、コロナ禍になり家にいる事が多くて時間ができた事が大きな要因ですね。

 周りにとても勉強熱心な同僚や先輩がいて、このままだと自分は診療放射線技師の世界では何者にもなれずに終わってしまうなと感じていました。診療放射線技師と何かを組み合わせて何か面白くてお金になる活動ができないかと考えて行動しはじめたのがきっかけです。

・「からばく社」の由来

 パネルを下に入れずにX線を曝射してしまう事を診療放射線技師の間では空曝射と呼ぶのですが、そこから拝借しました。個人の作家ではない印象を持たれたかったので「社」という文字を名前に入れました。

・なぜイラストを媒体に選んだのか

 実は他にもブログや物販、覆面調査員など、自分にできそうな副業らしい事は色々試してみました。その中でたまたまうまくいったのがTシャツをデザインする事と漫画を描く事でした(図1)。

図1 描くのは早いですがあんまり絵は上手い方ではないです。シュールな絵柄だとよく言われます。

・イラストやアパレルデザインの仕事が診療放射線技師の仕事に何か良い影響はあるのか?

 イラストのネタのほとんどは仕事中に思いつくことが多いので、仕事をしている時の観察眼が鍛えられた気がします。我々診療放射線技師の仕事は一定の期間を過ぎると毎日同じような業務の繰り返しのように感じがちです。ですが昨日までと今日で何か変化はないか、より良くできるところはないかを考えながら柔軟な思考で仕事に取り組めるようになったと思います。

 あとトラブルや理不尽なことに巻き込まれた時も、「あ、これ漫画のネタになるな」という思考に行き着くようになり、あんまりイラつかなくなりました。

・「からばく社」さんのアピールポイント

 医療に関連する漫画はたくさん世の中にありますが、話が小難しかったりシリアスな話の作品が多い気がします。逆に私の作品はシンプルな話と絵柄なので読みやすく手に取りやすいと思います。

 診療放射線技師を題材にした「100日後に吸着事故を起こす放射線技師」(図2)は現在Kindleにて無料配信中、大学病院の医師を題材にした「365日後に退局する医師」はm3.com内にて現在連載中です。

 「からばく社」では、放射線や医療をモチーフにしたTシャツや小物を販売しています。可愛らしい絵柄のものや、一見普通の服に見えて、わかる人が見たらニヤッとしてしまうようなデザインをたくさん取り揃えています(図3、4)。

図2 100ラジこと「100日後に吸着事故を起こす放射線技師
図3 学会に着ていくとざわつきそうなTシャツ
図4 腰椎斜位のレントゲン写真をモチーフにした服

・座右の銘

座右の銘「チャンスは追いつくもの」

 私はチャンスとは、「ぼーっと」上を見上げていたら頭の上に降ってくるものというより、全力でダッシュで拾いに行ったらギリギリキャッチできるくらい先に落ちてくるものだと思います。忙しい、自分にはまだ早い、とやらない理由を探すのは簡単です。しかし、チャンスはこちらが準備万端になるのを待ってはくれません。突然やってきます。そのチャンスに追いつきキャッチするためには今自分は急いで何をしなければならないかを考えることが大事だと思います。

■ プライベート編

・ある一日のスケジュール

6:00起床
6:10朝食&鶏が朝産んだ卵を回収                  
6:30ペットのお世話タイム
10:00

19:00
放射線技師業務
20:00ペットのお世話タイム
22:00夕食&創作活動
25:00就寝

 ペットを40匹くらいと一緒に暮らしているのでお世話に結構時間がかかっちゃいます。撫でたり遊んでいたりしているとあっという間に時間が過ぎてしまいます(図5、6)。

 動物達に広い飼育スペースを確保するために一人で一戸建てに住んでいます。一階は全てペット用のスペースです(図7)。みんな大事な家族です。

 働いている間に思いついたアイデアをメモしておいて、家に帰って作品におこすことが多いです。ペットたちのお世話が終わった後、配信サイトで映画を流しながら作業しています。

図5 ペットの鶏
図6 ペットのカメレオン
図7 動物園と呼ばれている我が家

・夢

 もっと作家として売れて、印税生活をするのがひそかな夢です。

 「からばく社」の中の人の個人的な夢はアルパカを家で飼うことです。ふわふわのアルパカと一緒に近所を散歩するのが夢です。

・趣味

 ライブに行く事とDIYが趣味です。

 音楽が好きで、アイドルやバンドのライブにたくさん行きたくて上京しました。

 DIYは家で使う小さいインテリアやペット達のケージを作っています。あと、コスプレや仮装の衣装もたまに作ったりしています。