高画質、高性能─富士フイルムが誇る先進技術によって生まれた『トータルマンモグラフィソリューション』と『FUJIFILM DR CALNEOC 1417 Wireless』( 以下、『CALNEO Cワイヤレス』)は、これからの医療を進化させる製品として大きな注目を浴びている。古い技術と新しい技術との融合はどのように業界をリードしていくのか? 担当者の方々にお話を伺った。
岡田宏一氏(富士フイルム(株)ヘルスケア事業統括本部メディカルシステム事業部モダリティーソリューション部主任技師)
松山和矢氏(富士フイルムメディカル(株)営業本部マーケティング部 部長)
画期的な3D マンモグラフィ
「雪山の白うさぎ」をみつけるに等しいと言われるほど難しいマンモグラフィの読影……。同社では「いかに高画質の画像を提供するか」を長年の課題として新製品の開発に取り組んできた。その結果採用された方法が、今まで二次元で見ていた画像を三次元で見せるというアプローチだ。立体的な3D 画像を読影することで、より精度の高い診断ができること期待される。同社が独自に開発した世界最小画素の直接変換型FPD を搭載した、乳がん検査用デジタルX 線撮影装置『AMULET』が、3D 画像の提供を可能にした。さらにこのAMULET は、従来の検査方法とほとんど同じ方法で使用することができるため、今までのワークフローを大きく変える必要がないというメリットがある。 「立体視できるようになったことで、雪山のように白い乳腺組織からでも石灰化の分布や病変部を把握しやすくなるなど、がんの確信度がかなりあがったという評価を、米国の医師の方々からいただいています」と語るのは、富士フイルム(株)ヘルスケア事業統括本部の岡田宏一氏。診断の確信度が上がったことで、精密検査を必要とする患者が少なくなる、それは患者そのものの負担を少なくするとともに、現在不足している読影医の負担を少なくすることも意味する。 3D の場合、患者の被ばくは増加するのだろうか? 「人間の眼には、片側に高画質の画像が飛び込んでくるともう片側の画像がそれほどでなくても立体的に組み立てることができるという、素晴らしい能力があります。それを生かし、追加撮影画像は通常の2D画像に比べかなり線量を落として撮影することが可能です」。 画像診断医の眼精疲労への懸念は? 「3D は眼が疲れるのではないかと研究を行い、面白い結果が出ました。二次元画像の場合、病変の疑いがある場合識別に時間がかかり、凝視する時間が長くなります。一方、3D は診断までの迷いの時間が少ない分、眼の負担が減る可能性が示唆されています」。 ピンクリボン運動の普及等により、乳がんの検診率が急速に上がる中、患者と医師、双方の側にとって頼もしい製品だ。
図1 3Dマンモグラフィシステム構成図
図2 3Dマンモグラフィの使用例
CALNEO Cワイヤレスの挑戦
「富士フイルム独自の『ISS 方式』間接変換方式FPD にワイヤレスタイプがラインアップされました。ISS方式はX線の減衰と拡散を抑え、少ないX 線量でシャープなX 線画像を得ることができる特徴があります。また、このタイプは撮影後約1 秒で画像を表示、次の撮影も約10 秒後に行えるなど、スピーディーなワークフローを提供することで撮影のストレスが軽減されます」と富士フイルムメディカル(株)マーケティング部の松山和矢氏は語る。スピーディー撮影に加え、軽量で持ち運びが簡単なことや、有線モードと無線LAN モードが簡単に切り替えできることなど、無線タイプの強みを生かし、作業効率の向上に貢献している。 高性能と軽量という2 点に加え、バッテリーの寿命が長いのもメリットだ。万一バッテリーが少なくなった場合でも、有線モードで撮影しながらバッテリーを充電できるため、診療放射線技師はバッテリー交換に気をとられることなく、ワイヤレス撮影に集中できる。「『CALNEO C ワイヤレス』は他のDRやFCR 装置との兼用も可能です。複数の装置で撮影した画像を一元管理することができ、施設に合わせて活用いただけます。今回の無線タイプFPD は、受診者の負担軽減とワークフローの飛躍的な改善に貢献します。従来通りの高画質でありながら、実用性も高まった本製品で、よりよい撮影環境を実現していただきたい」と、松山氏は語った。
図3 CALNEO Cワイヤレス
図4 従来方式と新しいISS方式のFPD構造と画像形成