富士フイルム株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長・CEO:後藤 禎一氏)は、医師の画像診断ワークフローを支援するAIプラットフォーム「SYNAPSE SAI viewer(シナプス サイ ビューワ)」の新バージョン「SYNAPSE SAI viewer Ver2.4」を、富士フイルムメディカル株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:川原 芳博氏)を通じて4月10日より提供開始する。
2019年に発売した放射線科向け読影ビューワ「SYNAPSE SAI viewer」は、AI技術を用いて医師の診断精度向上と読影業務の効率化を図るビューワとして、肺結節検出プログラムや肋骨骨折検出プログラム等を中心とした胸部向け読影支援機能を搭載してきた。2021年に提供を開始したVer2.1以降、画像解析機能の対象部位を胸部から頭部、腹部領域へ拡大するなど機能の拡充を加速させている。「SYNAPSE SAI viewer」は、2023年12月時点で500以上の施設に導入されている。
今回提供を開始するVer2.4では、周辺組織と比較して高吸収/低吸収な領域を強調表示する機能「SAIフィルタ」の対象臓器を拡大。また、大動脈瘤の長径・短径を簡便に計測できる「大動脈ビュー」、ユーザーが指定した神経膠腫(グリオーマ)疑いのある領域内のVOIを抽出する「頭部関心領域セグメンテーション」を搭載しました。主な機能は以下のとおり。
肺動脈低吸収値強調フィルタ
胸痛などで救急診療を受診した患者に対して、冠動脈、大動脈、肺動脈を同時に診断するトリプルルールアウトCT検査を行うことがある。トリプルルールアウトCT検査で発見できる疾患の1つである急性肺塞栓症は、救急患者の院内死亡率の高い疾患であり、早期に発見し治療を開始することが重要である。また、慢性肺塞栓症は自覚症状が現れにくいため、発見が難しいという課題がある。
本機能は、造影CT画像上の肺動脈において、周辺組織と比較して低吸収な領域に色を付けて表示することで、造影欠損域を血栓有無の評価に使用でき、肺塞栓の診断支援に繋がることが期待される。
副腎吸収値強調フィルタ・膵臓吸収値強調フィルタ
周辺組織と比較して高吸収/低吸収領域を強調表示する「SAIフィルタ」が、副腎、膵臓にも対応した。副腎は、胸部CT、腹部CT検査共に撮影範囲に含まれる臓器で、CT画像上では形態、濃度の変化を呈することがある。本機能は造影・非造影CT画像の両方に対応している。
また、膵臓の造影CT画像に対して、臓器セグメンテーション技術で認識した脈管系の情報を用いて、膵頭部/膵体部/膵尾部の3つの解剖区域でラベリング付けを行う機能も追加した。所見文候補作成機能と合わせることで、関心領域の場所や大きさなどの計測値情報を自動入力でき、所見レポート作成の負荷を軽減する。
大動脈ビュー
「2020年改訂版 大動脈瘤・大動脈解離診療ガイドライン」で、大動脈瘤径の計測を行う際には、大動脈長軸に直交する断面像において、長径と短径を計測することが示された。今回提供する「大動脈ビュー」では、大動脈の中心線に直交する断面で瘤径を計測するCenter line法に基づき、大動脈瘤の長径・短径を簡便に計測できる。
また、「大動脈ビュー」では、ビューワ内に直交断面/VR/CPRの3画面を表示可能。VRの大動脈上には中心線が表示され、中心線上でクリックすると、各点に直交する断面で短径の計測結果が確認できる。また、全断面のうち、短径が最大となる断面を強調して表示することで、再現性と読影業務の効率化が期待できる。
頭部関心領域セグメンテーション
ユーザーが指定した神経膠腫(グリオーマ)疑いのある領域内のVOIを表示し、体積や長径を計測することが可能で、神経膠腫の画像診断に繋がることが期待される。
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