島津製作所の受託分析子会社である株式会社島津テクノリサーチ(以下STR、京都市)は、4月18日にPCR検査「拡大新生児マススクリーニング検査」(以下本サービス)の受託事業を開始した。本サービスで発症の可能性を検査できる疾患は、重症複合免疫不全症(SCID)やB細胞欠損症(BCD)、脊髄性筋萎縮症(SMA)である。いずれも、発症者が数万人に1人の「希少疾患」だが、発症すると重篤な症状を引き起こすため、生後すぐの検査による発症前の発見および治療開始が重要である。本サービスで行う検査は、4月8日にSTRの衛生検査所における検査項目として、京都市に登録された。STRは病院や分娩施設などに本サービスを提供して、新生児の健康に貢献していく。
新生児マススクリーニング検査は、疾患の発症可能性を調べて投薬・治療の機会を提供するために実施する。SCIDやBCD、SMAのマススクリーニング検査を実施する自治体は2024年1月時点で40都道府県で、国内の全新生児への検査は実現できていない。現在、全新生児に対する公費検査の実施に向けて、こども家庭庁による実証事業が始まるなど、社会課題として取り組みが進んでいる。
本サービスでは、島津グループの臨床事業における開発・製造販売子会社である島津ダイアグノスティクス株式会社(SDC)製のPCR試薬キット「TKSneoFinder」を利用する。「TKSneoFinder」は、通常の試薬に必要な冷凍が不要で、冷蔵保存できる。また、試薬の調製が不要で、検査業務従事者のスキルに依存せず安定的な結果が得られる。STRは、SDCの試薬を活用してSCIDやBCD、SMAのマススクリーニング検査の全国的な普及に貢献する。
島津テクノリサーチは、2020年6月から新型コロナウイルスのPCR検査機関として、のべ4万人を検査して、感染症拡大の阻止に貢献してきた。また、島津グループで開発した製品・技術を臨床分野において社会実装する際には、臨床検査機関としての知見を活かして法令・規制対応を支援している。今後は、SCIDなどに続き、島津製の液体クロマトグラフ質量分析計を用いた「先天性代謝異常症」の新生児マススクリーニング検査の受託事業も開始する予定である。島津グループ全体で、製品・技術を速やかに社会実装して、新生児の健康や健康長寿社会の実現に貢献していく。
問い合わせ
コーポレート・コミュニケーション部(京都本社)
京都市中京区西ノ京桑原町1
電話:075-823-1110
FAX:075-823-1348