DX特集特設ページ

医療の世界でもデジタルトランスフォーメーション(=DX)が急務であるとされていますが、現場ではどのようにして対応しているのでしょうか?また、DXを推進するための技術もとても気になるところ。
このDX特集特設ページでは、Rad FanのDX特集で掲載させていただいた各施設のDXの取り組みについてまとめています。ぜひご覧ください。

いむれ内科クリニック
 未来が見える! 最先端医療DXの世界HP Anywareで実現する新しいリモート開業医LIFE!


 今や待ったなしと言える医師の働き方改革の実態は? ワークライフバランスや医療現場のあり方はどう変わる?医療ニーズを満たすDXとはどのようなものなのか? 机上の議論を超え現場に足を運びリアルな現状を描きます。今回は、山本院長にお話を伺い、地域密着の医療に情熱を燃やす開業医が構築するリモートシステムにスポットをあて、株式会社日本HPが発売した「HP Anyware」がもたらした現場の進化を紹介します。

いむれ内科クリニック

院長: 山本景三
住所: 愛知県豊橋市飯村北5-2-15
TEL : 0532-69-5678

いむれ内科クリニックは2011年2月愛知県豊橋市に開院しました。院長の山本景三先生はかつて豊橋市民病院の感染症内科勤務医でしたが、幅広い病気と向き合い地域に密着した医療を行いたいという想いからこの地に開業されました。クリニックの名前に地名の「飯村(いむれ)」が使われていることからも、地域の皆様に親しまれる身近なかかりつけ医を目指すという先生の熱い想いが伝わります。また感染症内科・呼吸器内科・アレルギー科の専門家として培った知識と経験をもとに高度で専門的な医療サービスの提供を行っています。2020年からCOVID-19パンデミックに伴い発熱外来も積極的に実施されています。

Q1.リモートシステムを導入されたきっかけを教えて下さい。
A1.開業前にいろいろな診療所を見学させて頂いた時です。先生方みなさん診察室の机の下にずらっとパソコンを置いてあるんです。蹴っ飛ばしそうだったり埃が溜まったりと安全面や衛生面に問題がありそうでした。ファンの騒音も大きく診察室で患者さんと向き合う時にはどうなのかな、と思いました。モニタ、キーボード、マウスだけを診察室に置き、パソコン本体は離れた場所に置けないかと思案したことがきっかけです。最初はKVMエクステンダー1)を検討しましたが、それほど長い距離がとれず断念しました。次にELSA VIXEL2)というPCoIPベースのゼロクライアント端末を使う機会を得ました。1Gbpsの院内ネットワークを介して手持ちのパソコンとつないでみたら非常に良い操作感で使えた、これがリモート導入のきっかけでした。

1) KVMエクステンダー : コンピュータ本体とモニタ・キーボード・マウスとの距離を拡げる延長接続機器
2) ELSA VIXEL: ( 株)エルザジャパンが提供するCPU,HDD,OSを持たないゼロクライアント端末。現在HP社が取り扱っている

Q2.リモート環境構築にあたって留意されたことを教えて下さい。
A1.まずはレントゲンの画質です。ロスレス伝送ができることが最も重要です。もうひとつはセキュリティです。遠隔操作が可能になれば場所を選ばずアクセスしたい欲求が出てきますが、院外で使う端末にデータを残すことは非常に危険なので端末内にデータを置かない仕組みが必要です。ここで問題になるのが、転送時間です。サーバーから画像をロスレスで転送しなければなりませんから、遅延があるシステムは医療のリモート運用には適しません。最近は動画も扱うようになってきました(図1)。

図1 ロスレスで転送を可能にしている。
動画で左右のモニターにおいてほぼ同時の動きがわかる
動画はこちらから

Q3.重いデータでも遅延なく取り回しできるかどうかが大切ということですね。
A3.その通りです。遅延がないことが非常に重要なポイントです。現在使っているリモートシステムHP Anywareは、ロスレス画像の表示はもちろん動画表示においても遅延を感じることがまったくありません。画質も非常に綺麗で問題なく使えています。

Q4.HP Anywareの導入で先生のお仕事はどのように変わりましたか?
A4.診療がスムーズに進むようになりました。コンピュータを別場所に置くことで診察室がすっきり清潔になりますし、騒音がないので患者さんに意識を集中できます。また院内にサーバを構築してカルテやレセプトの保管管理を行っているのですが(図2)、これまではサーバの管理を自分で行ってきました。しかし、昨今のサイバーセキュリティ問題への対応は個人の範疇を超えています。HP Anyware導入でしっかりしたセキュリティを確保できるようになったので、安心して診療に取り組めるようになりました。

HP Anywareについてはこちらから
図2 セキュリティ強化のため、院長自らネットワークを設計し構築した。

Q5.そのほかHP Anywareをお使いになったメリットはありますか?
A5.診療報酬のレセプトチェックですね。チェックは私自身で行うのですが、自宅のネットワークを介して院内システムにアクセスしています。リフレッシュした気持ちで自分のタイミングで作業を行えるのは、とてもありがたい。業務の効率が上がりストレスが減ったことを実感しています。これまでゼロクライアント端末導入といえば大規模病院の案件だったかもしれませんが、これからは医師一人ひとりの働き方改革とワークライフバランスも重要な観点になるでしょう。開業医においてもリモート環境構築の意義は高まってくるのではないでしょうか。

図3 電子カルテや画像システムのサーバーはそれぞれ別のネットワーク(IPサブネット)にある。通常は各サーバーに実装されたリモートワークステーション
カード(RWC)やゼロクライアントは、そのサーバーと同じIPサブネットに設置するところだが、当院では別のPCoIP専用IPサブネットを割り当てて全システム
のPCoIP機器をここに設置している(緑枠)。これにより(面倒なネットワーク設定なしに)全PCoIP機器をManagementConsoleで統合管理したり、自宅とク
リニックの間でフレッツ光ネクストのNGN網内折り返し(フレッツv6オプション)による広帯域低遅延のレイヤー2VPN接続ができる。

Q6.今後の展望をお聞かせください
A6.すぐに実現できるかどうかは別として、開業医の立場として考えられるのは往診です。無線ネットワークを介してカルテや画像にアクセスする。外出時の緊急対応から感染症対策や在宅医療まで、リモートの強みを存分に発揮できるはずです。


Q7.日本HPさんへご意見やご要望はありますでしょうか?
A7.開業当初から苦労して自前でリモート環境を造ってきました。逆に言えば、リモート環境構築は開業医にとってさまざまなメリットを秘めているということです。往診に積極的な先生であれば尚更でしょう。強固なセキュリティ対策のもと、いつでもどこでも、安心してよりよい医療を実現できる環境を日本HPさんから提案していって欲しいですね。HPAnywareで簡単にそれを実現できるのですから開業医に対して積極的にアプローチしていただきたいです。例えば、ベンダー提供のシステムに最初からHPAnywareを標準で組み込むとか、システム構築のアドバイザーやコンサルタント人材を地域に育成するとか、気軽にリモートにチャレンジしたくなる環境整備をしていただければありがたいです。プライマリーケアの現場にリモートの有用性と価値がさらに拡がってゆくのではないでしょうか。 

COLUMN「医療のリモートシステムにおける最先端セキュリティ技術」 

 令和3年5月総務省からリモートワークのセキュリティに関するガイドライン(第5版)が示されました。このガイドラインのなかで次世代セキュリティ対策ソフトとして紹介されたEDR(Endpoint Detection and Response)を製品実装化したのが、日本HPの「HP Wolf Security」です。「HP Wolf Security」は、EDRのキモであるエンドポイント(ネットワークを介してつながる端末デバイス・コンピュータ・サーバなど)のリアルタイム監視からAIによる問題検知と対策をユーザの手を煩わせることなく自動実行する高度なセキュリティソフトです。日本HPのワークステーションには「HP Wolf Security」が標準搭載されているため安心できるリモート環境を構築できます。

日本HPのワークステーションには最初から「HP Wolf Security」が実装されています。
詳しくはこちらから。
株式会社iMedical
 ダイヤメディカルネットの伝統を引き継ぎ業界第2位の事業規模を築く
 〜初期費用・月額基本料無償の画像診断サービス“スマート読影i-Radi ZERO”開始〜

(株)iMedicalは2013年6月にリゾートトラストと三井物産の共同出資により設立されました。デジタル技術の 活用により医療機関の経営効率最大化を実現するパートナーになることを目指し、健診・人間ドックのWeb予約 サービスに始まり、遠隔画像診断支援、心電図解析、と事業領域を拡大して参りました。

ダイヤメディカルネットからiMedicalへ

 (株)ダイヤメディカルネットは2001年の設立以来、遠隔画像診断支援サービスの業界においてリーディングカンパニーの一角を担い続け、累計200施設以上の医療機関様向けにサービスを展開して参りました。 iMedicalは2017年に(株)セントメディカル・アソシエイツに資本参画し、遠隔画像診断支援サービスを展開。2021年にはダイヤメディカルネットをグループに迎え入れ、セントメディカル・アソシエイツと合わせてグループとして業界第2位の事業規模を築いております。 その後、2023年4月にダイヤメディカルネットと合併し、遠隔画像診断支援サービスの更なる品質向上と事業シナジーを追及しております。現在では、グループ全体で200名以上の登録医を抱え250施設以上の医療機関様にサービスをご提供しております。 2023年7月には新社長として三井物産から石塚真樹が就任しました。 ICT分野の経験が豊富で、特にサイバーセキュリティを専門としていたこともあり、遠隔画像診断支援サービスを始めとする当社の各事業にその知見を生かすと共に、セントメディカル・アソシエイツとの連携強化を含め、事業の拡大に努めています。

遠隔画像診断支援サービスについて

 遠隔画像診断支援サービスは質の高い読影レポートを提供することを第一に取り組んでいます。当社独自の品質基準を満たした診断専門医のみを採用し、定期的に読影レポートの品質レビューを行い、読影医に適切なフィードバックすることでサービスレベルの向上に努めています。常勤医によるバックアップ体制も整え、さらに品質の高いレポートのご提供に取り組んでおります。また、医療機関様のご期待に応えるべく常にコミュニケーションをとりながら、必要に応じて適切な撮影方法のご支援や最適な院内システムのご提案を行っております。

“スマート読影 i-Radi ZERO”について

 2024年6月には新しいサービスとして“スマート読影i-Radi ZERO”の提供を開始しました。初期費用・月額基本料ともに無料で画像診断支援サービスを始められます。ご依頼数の少ない医療機関様向けのサービスです。セキュリティの高い専用ソフトウエアを使用し、画像を送信できるようになります。

弊社読影室

(株)iMedical 
〒106-0032 東京都港区六本木6-2-31
六本木ヒルズノースタワー6F
URL: https://www.imedi.co.jp
設立 : 2013年6月
関連会社:(株)セントメディカル・アソシエイツ
加盟団体:一般財団法人 遠隔画像診断サービス連合会
公益社団法人 日本人間ドック・予防医療学会
特定非営利活動法人日本人間ドック健診協会

代表取締役社長COO
石塚真樹
経歴:早稲田大学政治経済学部経済学科卒業、三井物産株式会社入社。
米国製ネットワーク機器の営業、BPO事業の企画・マーケティングを経て、ドイツ駐在。
再生可能エネルギー、スマートグリッド関連の事業推進を担う。
2017年から4年余り、三井物産セキュアディレクション株式会社に
経営企画部長として出向、サイバーセキュリティ事業の拡大・収益化に尽力。
2022年3月よりダイキンと三井物産の合弁企業であるエアアズアサービス株式会社 取締役。
2023年7月に当社代表取締役COOに就任し、現在に至る。

株式会社イリモトメディカル
 先進技術による革新的な予防医療サポート:がん検診遠隔画像読影サービスへのAI活用とその未来


はじめに

遠隔医療技術の進化は、日本国内における医療アクセスの格差を解消し、より高度で質の高い医療サービスを提供するための鍵となっている。特に遠隔画像診断サービスは、画像診断の精度と効率を向上させる重要な手段である。株式会社イリモトメディカルは創業から24年にわたり、全国の健診施設から画像の遠隔画像読影を受託し、現在110施設から年間100万件の読影実績を有している。

当社サービスの特徴

 当社の遠隔画像読影サービスの最大の特徴は、全ての読影が検診のエキスパートである放射線専門医を始めとした各専門医によって行われる点である。これにより診断の精度が格段に高く、クライアント施設への迅速かつ正確な読影結果報告が可能である。また、胸部単純写真の読影にはAI技術(EIRL Chest Nodule、エルピクセル株式会社※)を導入している。AI読影システムを導入し、読影時に同時に用いると、読影医にはそれを参照する追加の時間が生じ、またAIの指摘に惑わされることがある。当社では、読影医はAIを参照せず読影し、バックグラウンドでのAI判定の結果と読影医の読影結果を差分し、異なるものだけを管理医が読影する“ハイブリッド型AI二重読影システム”を大日本印刷株式会社と共同開発し、運用を開始した。このシステムにより読影医はAIによる支援を受けながらも、必要以上に干渉されず、効率的な読影が可能となった。

当社サービスの利点

 当社サービスの大きな利点は、このハイブリッド型AI二重読影システムを用いた高い効率と感度と特異度が共存した読影結果を、全国の医療施設が受けられるという点にある。専門医による読影やAIを導入することに困難を感じている医療施設は少なくない。当社サービスを利用することで、健診施設は高価なAI機器の購入や導入を行うことなく、最新のAI技術を活用した専門医の読影結果を得ることができ、業務負担の軽減と読影精度の向上が実現されるとともに、受診者への医療サービスの質を向上させることが可能である。

図1
読影医はAIを参照せず読影し、バックグラウンドでのAI判定の結果と読影医の読影結果を差分し、異なるものだけを管理医が読影する“ハイブリッド型AI二重読影システム”

ビジョンと未来への取り組み

 当社は持続可能な医療システムの構築を目指し、継続的な技術革新に努めている。AI技術の進化に伴い、将来的にはより複雑な病態の早期発見や、より精密な診断が期待されている。また、がん死亡の減少を目的とした予防医療から、失明や転倒・骨折防止、認知症予防などの健康寿命の延長に対する予防医療への取り組みにパラダイムシフトし、これまで培ってきた遠隔医療の技術を応用していく。

まとめ

 当社の遠隔画像読影サービスは、最先端のAI技術を駆使して、放射線診断の正確性と効率を大きく向上させるとともに、全国の医療格差を解消するための有効な手段である。これからも技術革新を推進し、健診を実施する医療機関のニーズに応え、受診者様一人ひとりが質の高い医療を受けられるよう努めていくことで、社会全体に安心と幸せを創り出していく。

※販売名: 医用画像解析ソフトウェア EIRL X-Ray Lung nodule
 製造販売承認番号: 30200BZX00269000
 製造販売業者: エルピクセル株式会社

(株)イリモトメディカル 本社・読影センター
東京都文京区春日1-11-14 SG春日ビル5階
代表取締役会長 煎本正博(医学博士・放射線診断専門医)
代表取締役社長 煎本雄一
電話番号 03-6897-8977
医師・従業員 常勤医 2名 非常勤医 31名 一般職員 18名
画像診断ワークフロー効率化のためのクラウド活用
窪田寛之(アマゾンウェブサービスジャパン合同会社)
先端テクノロジーが拓く新しい医療のみらい
清水教弘(日本マイクロソフト株式会社 医療・製薬営業本部 本部長)
医療業界のDXを加速するAIとディープラーニング技術
何 勇(エヌビディア合同会社 シニアヘルスケアソリューションアーキテクト)
5Gと通信技術による医療の革新
青山ダニエル(華為技術日本株式会社(ファーウェイ・ジャパン))

続きはRad Fan2024年7月号で!
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https://eradfan.official.ec/items/87812396

各記事に関するお問い合わせ

(株)メディカルアイ
 kurojiro99@gmail.com