1.はじめに
グローバルに新型コロナウイルスの感染が拡⼤する中で、パルスオキシメーターは感染者の肺炎の早期発⾒に有効なツールとして軽症者宿泊施設での活⽤も始まり、その名前だけが急速に広まりましたが、実際にパルスオキシメーターとは何か、パルスオキシメーターで何が出来るのかという知識はまだまだ⼀般には知られていません。
例えば、「パルスオキシメーターの数値によって、新型コロナウイルスの感染判断ができる」という間違った認識が⼀部で広まり、パルスオキシメーターを感染予防⽬的のために⼀般家庭で購⼊されるケースも増えていると聞きます。
パルスオキシメーターは、病状の重症度の判断には有効で、急性呼吸不全を起こす可能性のある慢性疾患患者の⽇常管理や、医療機関・介護施設などでの患者・⼊所者の病状判断に重要な製品です。特に、⾼齢者や基礎疾患を持つ⽅々は新型コロナ肺炎重症化のリスクが⾼いと⾔われており、そうした⽅々に使⽤いただく機会を確保することが現在、重要な課題となっております。
2.パルスオキシメーターとは
パルスオキシメーター(pulse oximeter)は、動脈⾎酸素飽和度(SpO2)と脈拍数を採⾎することなく、指先などに光をあてることによって測定する装置で、病院の⼿術室や集中治療室、内科、呼吸器科、循環器科の外来・病棟などで、幅広く使⽤されています。
現在主流となっている指先で測定するパルスオキシメーターは、コニカミノルタが1977年に世界に先駆けて開発しました。その後も40年以上にわたり⼩型・軽量化を追求し、現在は測定・計算・表⽰を⼀体化した⾼品質なフィンガータイプを医療の現場に提供しています。また、近年は医療機関内だけでなく、往診や訪問看護での使⽤、さらには慢性呼吸器疾患患者の⾃⼰管理、⾼齢者の家庭での体調管理のための使⽤も加わり、幅広い⽤途で⾼い評価を得ています。
3.何をはかるの︖パルスオキシメーター
パルスオキシメーターで測るのは「動脈⾎酸素飽和度(と脈拍数)」です。動脈(⼼臓から全⾝に運ばれる⾎液)に含まれる酸素(O2)の飽和度(Saturation︓サチュレーション)を、⽪膚を通して(percutaneous)測っていますので、その測定値をSpO2(エスピーオーツー)と呼びます。なお、採⾎などの⽅法によって動脈⾎の酸素飽和度を測定したものはSpO2と区別するためSaO2(エスエーオーツー)と呼ばれています。
では、酸素の飽和度とは何でしょう。⾎液中の酸素の⼤半(健康なら99%近く)は⾚⾎球の中にあるヘモグロビンによって運ばれます。飽和とは最⼤限の状態を指しますので、酸素飽和度とはヘモグロビンが運べる最⾼の状況に対し、実際に、肺にある酸素を⾎液中にどれだけ取り込んで体に運べているかを表します。
従って、肺炎になり、肺がダメージを受けた個所が増えると、それだけ肺から⾎液に酸素が移せなくなります。その結果、酸素飽和度が下がってくるため、パルスオキシメーターが重症度の指標として、肺炎重症化の可能性を⾒つけるツールとなってきます。
4.何ではかるの︖SpO2
パルスオキシメーターは、⾎液の酸素供給が正常に⾏われているかどうかを、リアルタイムで測定できる医療機器です。突然の事故や疾患の急激な悪化、⼿術中などでは、パルスオキシメーターにより酸素飽和度を連続的にモニターします。これは、⽣命維持のための最低限必要な酸素供給⼒が失われないように、連続的に監視するための⽬的です。
あるいは、⼊院中に看護師さんが体温や⾎圧測定と同時にパルスオキシメーターで酸素飽和度を測るのは、体の内側で何らかの不具合が⽣じて、それが酸素供給⼒としての酸素飽和度に現れていないかを確認しています。
⾝体の酸素供給⼒が衰えた時に、まずなされるのは酸素の吸⼊です。酸素は必要なものでもありますが、その⼀⽅で過剰な酸素は⾝体に悪影響をもたらすこともあります。パルスオキシメーターによって、その⽅にとっての適正な酸素吸⼊量を判断することにも使われます。
⽣きるために必要な酸素、健康であるために必要な酸素が、充分に体に供給されているかどうかを確認するために酸素飽和度は測られます。
5.パルスオキシメーターは医家向け医療機器です
パルスオキシメーターの操作は⾮常に簡単です。しかし、測定値がどのような体の状態を意味するかを判断することは簡単ではありません。
⽇本呼吸器学会のホームページでも次のように説明されています。
〜⽇本呼吸器学会のホームページより抜粋〜
⼀般的に96〜99%が標準値とされ、90%以下の場合は⼗分な酸素を全⾝の臓器に送れなくなった状態(呼吸不全)になっている可能性があるため、適切な対応が必要です。慢性に肺や⼼臓の病気のある患者さんでは、息苦しさや喘鳴などの症状が強くなり、SpO2が普段の値から3〜4%低下した場合は、かかりつけ医に連絡するか受診をしてください。
操作⾃体は簡単で、家庭での購⼊も可能ですが、測定値のもつ意味はその⼈の状態やかかっている病気によっても異なるため、測定値の判断は主治医など医療専⾨の⽅の指導を仰ぐことをお勧めします。
また、厚⽣労働省では、「新⽣児以外の者であって⼊院治療の必要がないものに対して、動脈⾎酸素飽和度を測定するため、パルスオキシメーターを装着すること」を医⾏為ではないとする解釈を⽰しています。(平成17年7⽉26⽇厚⽣労働省医政局⻑発信 医政発第0726005号)しかし、これはあくまで「装着」するという⾏為までであり、測定値の判断や測定値に基づく⾏動までは含まれていません。
SpO2 はその⼈が持つ様々な要因によりその意味が異なりますので、あくまで医療専⾨家の判断をもって使⽤していく必要があります。
6.おわりに
本資料は、コニカミノルタのウェブサイト「パルスオキシメーター知恵袋」からの抜粋に、現在の状況に適した説明を追加しました。さらに詳しい情報をお知りになりたい⽅は、下記サイトをご覧ください。
パルスオキシメーター知恵袋 基礎編
https://www.konicaminolta.jp/healthcare/knowledge/index.html
パルスオキシメーター知恵袋 活⽤編
https://www.konicaminolta.jp/healthcare/products/pulseoximeters/knowledge/index.html__
新型コロナウイルスの感染拡⼤が進む中、パルスオキシメーターは「肺炎等の患者の⾎中酸素飽和度を測定し、呼吸がうまくできているかどうかを測ることができる医療機器」として、さらに中等症から軽症患者へのモニタリングやトリアージでの要求が⾼まっており、コニカミノルタにも供給要請が届いております。コニカミノルタでは、⽣産委託先である⽇本精密測器株式会社と連携し、医療機関向けの増産体制を整えております。
分類︓管理医療機器 特定保守管理医療機器/販売名︓コニカミノルタ PULSOX-Neo/認証番号︓230 AGBZX00112000
●お問い合わせ
株式会社 コニカミノルタ
URL https://www.konicaminolta.com/jp-ja/index.html