この学会で聞きたかった教育講演ベスト3は森 墾先生(東京大学大学院)の「スクリーニング検査に必要とされる画像」(教育講演4 放射線撮影分科会[MR])でした。われわれは、日頃与えられたルーチンシーケンスを何気なく撮像しています。病気の存在を認め、その病気に対し最適な撮像シーケンスを臨機に対応できる人は少ないと思います。今回、森先生からシーケンスの持つ意味・役割を教えて頂きました。多くの施設ではスクリーニング検査の際、T1強調、T2強調、FLAIRを横断像で撮像しています。では、「なぜ横断像なのか?」「冠状断や矢上段は必要?」という疑問に対し的確に答えられるでしょうか?
頭部MRIは限りなく神経病理に近づいた画像診断のモダリティであり、解剖学的な異常を検出するには横断像だけでなく、冠状断や矢状断を撮ることは病変のより詳細な評価に必須であると仰っていました。
ただ、漠然と指示通りに撮像するのではなく「画像に意味を持たせて撮像する」必要があると感じました。画像を見た放射線科医・臨床医が「なるほど、これは分かり易い、ここに疾患があるんだね」と理解しやすいようなシーケンスが求められると思いました。
われわれは、放射線科医と口頭でディスカッションしますが、画像こそがコミュニケーションツールであることを忘れてはいけません。