IVR3:塞栓術(止血)
063後腹膜腔出血に対する血管塞栓術後の臨床評価
管 直木
後腹膜血腫は、外傷性、特発性、医原性など様々な場で我々IVR医を悩ませます。特に誘因が無いとき、膿瘍との鑑別が難しい症例も少なくありません。今回の発表では、塞栓後の再出血頻度が他の部位と比較し少なくないというのが趣旨でした。再出血の原因として増大する血腫が鈍的に新たな血管損傷を引き起こすという説をあげていましたが、なら血腫をドレナージしたほうがいいのではないかと会場から声が上がっていました。ヘパリン使用中や、高度肝機能障害、ワーファリンコントロール不良の際に特発性腸腰筋血腫や、腸骨筋血腫が生じることを良く経験しますが、私自身の経験では大抵は経過観察で治っている印象でした。止血しても、血腫が増大してしまう場合はそれほど経験ありませんが、私はFFP等の血液製剤を早い段階で入れてもらいました。外傷でこのような症例に出会ってしまった場合は線溶亢進型DICを疑うべきで有り、NBCAを用いた止血を早期に検討する必要があると思います。