CT検査 臨床技術 整形
109 腰椎CTにおける上肢挙上方法の検討
宇多野病院 四丸真俊
通常、腰椎CTは上肢を挙上させて検査を行い、MRIは上肢を下垂させて検査を行うことが多い。そのため、腰椎前弯角がCTとMRIで異なる可能性があると、整形外科から要望に応えるために行った検討であった。演者は、まず健常ボランティアにて、現状のポジショニングで、腰椎前弯角が、MRIと比較しCTで軽度後屈位になってしまう可能性があることを明らかにしていた。次に、演者の施設では、腰椎疾患に対してMRIがファーストチョイスになることを考慮して、CTの撮影体位をMRIへ合わせる試みを行っていた。その手法としては、CTの上肢の挙上角度を、補助具を用いて60°にすることで、MRIとCTの腰椎前弯角に整合性が取れるとの報告であった。この演題は、通常何気なく撮影している検査に対して、マルチモダリティーで検査対象部位を捉えた検討であり、目の付け所にとても驚き、自施設でも是非導入を検討したい。ただ、腰椎疾患を抱える方は時間が経つにつれて、腰椎周囲の筋肉の緊張が緩和される可能性があるため、腰椎前弯角が時間経過で異なってくることも予想される。MRIは、少なくとも10分以上の検査時間を要してしまい、CTは数分で検査が終わってしまうという、検査時間の違いと腰椎前弯角の関係についても検討の余地があると考える。また、CTで上肢の挙上角を60°とした場合には、CT装置のガントリーに上肢がぶつかってしまう可能性があることと、これを回避するために通常の位置より寝台を下げて撮影した場合の空間分解能の低下が懸念される。これらの検証について、是非追加報告を期待したい。