TEM in JRC 2014で見た超音波診断装置の新製品
東京慈恵会医科大学 放射線医学講座 超音波診断センター 中田典生
日本で行われている展示会であっても世界的医療業界の状況は重要である。先進諸国の世界的景気低迷にもかかわらず、発展途上国の経済発展は進行している。そのため画像診断モダリティーを世界的に俯瞰するとCTやMRIに比べて、超音波診断装置の販売台数が伸びている。これを反映するかのように、今回のITEM in JRC 2014では、ほぼ全ての超音波ベンダーから新製品が続々と発表・展示されていた。以下各超音波ベンダーについて五十音順に簡単にまとめた。
コニカミノルタヘルスケア
コニカミノルタヘルスケアが2014年1月に事業統合したパナソニック ヘルスケアの超音波部門と共同開発した第1弾の製品である、ハンドキャリー型で高分解能を実現した超音波画像診断装置SONIMAGE HS1が発表された。
GEヘルスケア・ジャパン
今回特に、新しい製品展示はなかった。昨年末のRSNA2013(北米放射線学会)で展示されていた乳腺自動スキャン超音波診断装置の日本での登場が、今後待たれている。
シーメンス・ジャパン
電波法令の関係で日本国内での販売が遅れていたケーブルレス探触子が搭載されたAcuson Freestyle超音波診断装置が、ようやく販売されるようで、実機のデモが行われていた。装置単独はもちろん、同社の血管造影装置とともに使用できるような専用小型支持台も展示されていた。
東芝メディカルシステムズ
SMI(Superb Micro-vascular Imaging)(筆者の本誌5月号別途詳細記事参照)がAplio 300、400、500に搭載され、実機展示がされていた。
日立アロカメディカル
従来のハイエンド装置よりコンパクトになった新しい超音波診断装置Arietta (アリエッタ)60および70が発表展示されていた。このシリーズは個人的には最もエルゴノミクス(人間工学)に沿っているカート型超音波診断装置であると思われる。今後、優れた機能をどれだけ搭載できるか国内ベンダーとして期待されている。
フィリップス エレクトロニクス ジャパン
昨年末のRSNA2013で新たなハイエンド装置としてとりあえず、循環器バージョンとして発表されたEPIQが、いよいよ腹部・表在バージョンを搭載して新たに国内で初めて発表され、実機展示でデモが行われていた。2次元アレイ3D探触子による、3Dボリュームデータのパノラミック・イメージ(血管などの長い構造物を連続した画像で表示するモード)は下肢静脈血栓症の検査時間短縮などに有用性が期待されている。
富士フイルムメディカル
2011年末に買収した子会社であるFUJIFILM SonoSite, Inc.の技術を導入して開発した、新しい携帯型超音波診断装置のFUJIFILM FC1が展示されていた。同社の旧型装置であるFAZONEシリーズより装置本体および探触子自体が頑丈な作りであるそうだ。
その他
根本杏林堂より、超音波造影剤ソナゾイド用オートインジェクター(造影剤注入装置)のモックアップが展示されていた。実機展示はなかったが、この装置により、造影手技の簡素化やソナゾイドの持続注入などが可能になることが期待されている。