【ITEM in JRC 2016参加レポート】-山本晃義先生(社会医療法人共愛会戸畑共立病院画像診断センター)より

ITEM2016 Report(ITEM in JRC 2016 国際医用画像総合展):Expert’s Real-Time Voice
2016.04.19

山本晃義先生(社会医療法人共愛会戸畑共立病院画像診断センター)よりJRC参加レポートを頂きました!
 
Applied Technology Seminar Series 技術活用セミナー
獨協医科大学 小橋 元
Applied Technology Seminar 5/技術活用セミナー5(統計1) 4月15日(金)9:30~10:15(ハーバーラウンジB)
Applied Technology Seminar 6/技術活用セミナー6(統計2) 4月15日(金)10:50~11:35(ハーバーラウンジB)
Applied Technology Seminar 7/技術活用セミナー7(統計3) 4月15日(金)12:00~12:45(F203+204)
Applied Technology Seminar 8/技術活用セミナー8(統計4) 4月16日(土)8:00~8:45(501)

 
 4月16日(木)に仕事を終えて飛行機で九州を出発しようとしたところ、予定していた東京出発便は2時間ほど遅れ、何とか当日の夜には横浜に無事到着しました。今回は久しぶりにじっくりと腰を据えて統計の基礎を復習しようと考えていましたので、翌日は早朝からホテルを出発して学会会場へと足を運びました。
 今回レポートする獨協医科大学の小橋 元先生のセミナーは2日間で計4回(各45分)行われまして、ともて熱いプレゼンを全て拝聴してきました。「JRC2016 あの人に教えたい!オススメ演題」でもご紹介しましたが、研究デザインから統計解析までの概念と重要事項を学ぶことができ、まさに “目からうろこ”の連続でした。初日は会場がITEM会場入り口の反対側の2階に入り口のある「ハーバーラウンジ」で、朝早くから開始されますので参加者も少ないかと思いきや、会場はすぐに満員となり、このセミナーの期待の高さがうかがえました。
 
 元々小橋先生は、産婦人科医で、後に現在の統計学をご専門に講義なさっておられるため、医学的な観点から疫学と統計学との違いについてとても分かりやすくかつ丁寧に解説していただきました。冒頭では、疫学とは「人々の上に起こる事象、問題を明らかにする学問」であり、疫学研究の最大の目的は「病気の危険要因を解明すること」であるということをしっかりと定義付けされておられました。これは、病気とその原因は必ずしも1対1ではなく、危険要因が複雑に絡み合うことで病気が発症し、さらに環境要因にも大きく左右されるということでもあり、そして統計学はその疫学の弱い部分を数値情報として補完するための大切な学問であるということも述べておられました。これは後から気が付いたことですが、小橋先生の講義の真骨頂はいつでも目的を見失わないプレゼンができることで、統計学基礎の話の最中に「統計解析のここは疫学研究のこの部分に役立つ」と解説していただけるので、最後までつながりを持って拝聴できました。
 
 統計解析では、解析を行う上での重要な2つのステップについて解説していただきました。その際、「芋煮会」を例に挙げ、大なべの芋煮をお椀に分けた時、反対にそのお椀の中身から大なべの芋煮の中身を推測する際に用いる解析方法が統計解析であると例えておられました。そこでステップの1つ目はお椀の中身を上手に見せること(やったことを上手に見せること)が正規分布で示すような統計記述を行うことであり、母集団(大なべの芋煮)からサンプリングされた標本(お椀の芋煮)の平均、標準偏差を計算することであるとのこと。2つ目のステップが母標準偏差を算出し、母平均を割り出すことによって母集団(大なべの芋煮)を推定することができるということをわかりやすく解説していただきました。そして、対応あるもの、ないものの2群間の比較における有意差検定の方法(t検定、カイ2乗検定)について、両者の明確な違いと利用方法ついてわかりやすく例を挙げて説明していただきました。特に少ないサンプリングの統計解析に関する解説は大収穫でした。
 
 統計解析を行う上で最も大切なことは、何を目的として統計を行おうとしているのか、ということにいつでも立ち返ることができるように心がけることが重要であり、母集団からのサンプリングの方法やその環境要因を常に念頭に置いた研究ができるようになることが、研究デザインを決定する上で大切なポイントになるということを4回のセミナーで学ばせていただきました。また機会があれば、是非小橋先生の講義を聞いて勉強させていただきたいと思いました。

 
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