小澤修一先生(広島がん高精度放射線治療センター)よりJRC参加レポートを頂きました!
2016年4月14日(木)
いよいよJRC2016が始まりました。個人的な話で恐縮ですが、妻と結婚式を挙げたのが横浜でして、僕にとっての横浜は特別な場所なため、毎年、横浜に来られるのがとても楽しみです。
今回は、日本医学物理学会の実行委員も仰せつかっているため、色々と忙しくなりそうな予感です。ところで、私が投稿させていただいたRadFan ONLINEの記事(http://greenwalrus5.sakura.ne.jp/wp/item-jrc2016/51137/)でオススメさせていただいた以下の研究発表ですが、
【中辛、動体追尾、QA/QC】大学院生、研究者、放射線治療品質管理業務従事者
[JSMP] Radiation Therapy (photon/electron) 2 (IGRT/Respiratory gated therapy 1)
4月14日(木)14:00–15:00 (418)
O-011: “Tumor tracking with a gimbaled linac system quality assurance using a light field”
Hideharu Miura (HIPRAC)
で、演者の三浦先生(とても優秀な物理士で、ここ半年間は1ヶ月に1本のペースで英語論文を量産しています!!)と発表後に話をしましたが、私のRadFan ONLINEの記事を見て発表を聞きに来たという方いたとお聞きして、とても驚きました。実はこの他、初日に展示場を歩いていると、オススメ記事で取り上げた演題に協力したという業者さんから、記事で取り上げたことについてお礼を言われました。RadFanのポータルサイト恐るべし!反響があって嬉しい半面、メディアを通じて情報発信を行う怖さを感じました。
4月15日(金)
私がオススメ演題として推薦させていただいた
【激辛、統計学】大学院生など、統計学の本質を勉強したい方
[JSMP]Morning Educational Lectures
4月15日(金) 8:15-8:55 (418+419)
“An introduction to Bayesian data analysis”
Jun’ichi Kotoku (Teikyo Univ.)
私も朝早くから聴講してきましたが、参加者の皆様の多くにとって非常に難解であったのではないかと思います。ベイス確率というのは、我々が一般的に用いる頻度確率と異なり、主観確率とも呼ばれ、例えば宇宙人がいる確率といったものも取り扱えるのが非常に面白い。今回は、ベイス統計を語る上で取り上げられることが多いモンティ・ホール問題を使い、ベイズ統計により、第2段階でもう1つの扉を選び直した方が当たる確率が高いという結果を導くかを丁寧に説明されていました。
ところで、今回のITEMでは、東洋メディック(株)の展示ブースで、米国Sun Nuclear社の新製品であるPerFractionが展示されていました。PerFractionはウェブベースのQAシステムで、患者照射前のQAだけでなく、患者の照射後には自動的にリニアックからログデータ等をサーバへ取り込み、解析し、結果をクライアント端末上で表示します。ウェブベースのシステムですので、今後クラウドシステムによるサービスが視野に入っているようです。こうすることで、メーカーからすれば、メンテナンスが一極集中となるため、各施設を訪問してのサービスが省ける上、ハードウエアの納品がないため、大きな経費節減となります。現状で電子カルテシステムとしては、NECがクラウドサービスを開始していますが、放射線治療においてクラウドサービスは全く普及していません。しかし、今後この流れは間違いなく放射線治療分野にも押し寄せることでしょう。
4月16日(土)
ようやく一番忙しかった土曜日が終わりました。朝7時から日立製作所さん主催のユーザー会の懇親会までスケジュールが詰まった一日でした。本日は、事前のオススメ記事でもご紹介させていただいた以下の医学物理士認定機構による企画の報告をさせていただきたいと思います。
[JSMP]Briefing on the activities for the national qualification of medical physicist
4月16日(土) 13:00-14:00 (419)
Japanese Board for Medical Physicist Qualification
Kumiko Karasawa (Japanese Board of Medical Physicist Qualification)
最近、話題に挙がることの多い医学物理士(放射線医学物理師)の国家資格化活動については、当事者である医学物理士の間でも温度の違いがあります。今回のこの説明会では、参加者に対して国家資格化に関するアンケートを取っていました。そもそも、医学物理士自身が国家資格化を望んでいるのか、特に、診療放射線技師免許を持っている物理士も本当に医学物理士の国家資格化が必要だと考えているのかを調査するのが今回の目的だったようです。結果がどうであったかは、後日公開されるのだと思いますが、医学物理士の国家資格化活動については今後の動向に注目です。