ITEM of the Year 2024~2024年はこの製品が来る!~ 久保貴俊先生(東京大学医学部附属病院 放射線科)
第1位 ChatGPT(OpenAI)
この一年は大規模言語モデルが一般に大きく浸透した一年であったが、中でもそのきっかけとなったChatGPTの活躍はめざましいものであった。診療においてはハルシネーションの問題もあり現実的にはまだ大規模言語モデルの応用には様々なハードルがあるが、研究においてはChatGPTはすでに必要不可欠な補助ツールとなっており、翻訳や要約、プログラミング補助など多岐にわたって研究遂行を補助してくれる。
第2位 SYNAPSE SAI Viewer(富士フイルムメディカル)
当院では昨年4月にSYNAPSE SAIViewerに読影ビューワが切り替わった。同ビューワはとにかく使いやすく、フォローアップビューや各種再構成ビューの設定も簡単に行えるので読影効率向上に寄与している。また、「AI in Workflow,AI for Solution.」を掲げており、各種CADや自動計測機能、セグメンテーション機能などの画像解析オプションが充実している点も魅力的で、with AIの恩恵を感じながら日々読影を行っている。
第3位 Nexaris Angio-CT(シーメンスヘルスケア)
当院では昨年3月にNexaris Angio-CTを導入した。アンギオ装置とCT装置が組み合わさったAngio-CTシステムは、単に手技の精度向上や時間短縮に役立つだけでなく、これまで単独装置では施行困難であったような高難度手技が可能になるというメリットも併せ持っている。特にNexaris Anigio-CTは画像のオートレジストレーションの精度・速度が優れており、3Dロードマップなどを簡便かつ迅速に行える点が最大の魅力だと感じている。
第4位 シャーロック3CGプラス(Becton Dickinson)
「中心静脈カテーテル挿入・抜去に係る死亡事例の分析」が公表されてから、古典的な中心静脈カテーテルから末梢挿入型中心静脈カテーテル(PICC)への切り替えが加速している。当院でも数年前まではほぼ症例数がなかったが、今年度は200件近くのPICC挿入を放射線科で施行している。現在は透視下でのPICC挿入が主流だが、今後は働き方改革に伴うタスクシフトもあり、認定看護師などがベッドサイドなどで非透視下にPICC挿入を行う機会が増えることが想定される。シャーロック3CGプラスは磁気と心電図を用いて挿入中のPICC先端位置を可視化するデバイスであり、非透視下でのPICC挿入の安全性向上には欠かせないデバイスとして今後の普及が期待される。
第5位 nodoca(Aillis,Inc.)
放射線科領域の製品ではないが、厚生労働省が定める「新医療機器」の承認を日本で初めて取得したAI搭載医療機器である。nodocaは咽頭画像と体温や自覚症状等をAIが解析することで、インフルエンザに特徴的な所見や症状等
を検出するインフルエンザ検査機器であり、従来式のインフルエンザ抗原検査と同等の診断精度が治験で証明されている。同じく画像を扱うという面で放射線科領域でも今後nodocaのようなAI搭載新医療機器の登場を期待したい。
第6位 Mobile Dart Evolution MX8 Version(島津製作所)
「Mobile Dart Evolution MX8 Version」は、意のままに移動できるすぐれた操作性や、わずか2秒で画像が確認できる即時性。さらには、大型モニタで見やすく使いやすい利便性をも兼ね備えた汎用型回診用X線撮影装置である。装置幅もスリム化したことで、感染症や災害などの医療現場でもストレスなく使うことができるまた、本製品は医療現場でニーズの高いフラットパネルディテクタでのX線撮影にも対応している。医療現場のニーズに合わせたDRシステ
ムの組み合わせを可能にすることで、柔軟かつ最適なソリューションを提案する。
第7位 読影支援ソリューション(EIZO)
読影を取り巻く環境は日々変化しており、膨大な量の医用画像データと向き合う放射線科読影医の負担は増加傾向にあることから、読影環境の改善は急務とされている。なかでも、検査画像を他の施設へ送信して読影を行う遠隔読影や、自宅での読影を担うホームリーディングの普及には期待が高まっている。
今回、そのような現場のニーズに対応すべく、「カラー」・「マルチモダリティ」表示に対応した6メガピクセル・カラーワイドモニターには、新たにUSB Type-C入力端子接続を搭載した。
ホームリーディングで使われることの多いモバイルワークステーションとUSB Type-Cケーブルを接続させることで、画面表示やモバイルワークステーションへの給電、USBハブ搭載による複数のUSB機器との同時接続、有線ネットワーク環境構築を実現する。
また、モバイルワークステーションの映像出力端子がUSB Type-Cの1つしかない場合でも、モニタ同士をUSB Type-Cケーブルで配線するだけで2台のマルチモニタ環境を簡単に実現できる。
EIZOの読影支援ソリューションは、これからも放射線科読影医の負担軽減を支援していくだろう。
第8位 Nio Fusion 12MP(バルコ)
Nio Fusion 12MPは、12メガピクセルの解像度を誇り、1つの画面に複数の画像を表示を可能にしている。シャープかつ高精細な画質を実現している。画面は、30.9インチのワイド画面のディスプレイを搭載、臨床現場でも非常に使いやすい。またFusionコンセプトを継承している点も好評で、CTやMRIなどの様々なモダリティ画像を1画面で表示できる。さらに2台のワークステーションからの出力を切り替えて表示できるKVM機能も搭載している。日本乳がん検診精度管理中央機構より適合モニタとしての認定を受けている。
第9位 放射性薬剤投与装置 Bridgea INJECTOR(PDRファーマ)
Bridgea INJECTORは デリバリーPET製 剤用に開発されたインジェクターだ。バーコードリーダーを搭載し、薬液情報と被検者情報の自動入力が可能となっているのも時代の要請に応えている。投与データのデジタル出力を可能にしており、投与結果項目の追加でき、線量管理や線量記録に利用が可能となっている点もありがたい。
本装置では、10mL/5mLバイアル製剤の薬液を抜き取り、被検者に投与できる。さらにBridgea GATEWAYと接続することで、国際標準規格での被ばく線量管理が可能できる点も大きなメリットだ。
第10位 AmiVoice iNote(アドバンストメディア)
音声認識による入力業務の負担軽減だけでなく、SNS機能を使用してリアルタイムにグループでの情報を共有でき、ユーザー管理機能では業務の可視化もできるスマートフォンアプリ。さらに、スマートフォンで入力した情報を他の場所で待機している代行入力者に自動共有し、代行入力者が電子カルテシステムに転送したり理由を付け差戻し、訂正依頼をすることも可能だ。