Morris 臨床試験のデータとして症例登録するうえでは、スキャンする前に頻度を設定する必要があります。6ヶ月後の骨スキャンだけではフレアは検出できず、あるいは3ヶ月後にスキャンしてその後の画像がない場合は、フレアを明確にすることができないからです。一連のスキャンを早期、中期、悪化時に実施していれば、ある程度の範囲をカバーできるデータが得られます。フレアを適切に検出することによって、実施した治療法が適していた患者集団を特定できると思われます。
小泉 かつて私は乳癌患者における骨スキャンおよび骨代謝マーカーについて研究していましたが、溶骨性マーカーがフレアと増悪を見分ける最良の方法でした。なぜなら、フレアの場合は、造骨性マーカーは増加しますが溶骨性マーカーは増加しないのです。また、前立腺癌の骨転移の場合は、造骨性マーカーと溶骨性マーカーどちらも代謝回転が速い状態にありました。
Morris 乳癌では溶骨性病変と造骨性病変が混在しており、前立腺癌では造骨性骨転移が多いのですが、ゾレドロネートが効くのは、前立腺癌骨転移でも溶骨も進んでいるためだと考えます。患者に起こっていることを反映するという観点か
ら、BSIにメリットがあるかどうかを確かめる上で、臨床研究は非常に強力な手段になると思います。
米国における臨床試験の評価項目としてのBSI
小泉 症例登録と臨床試験は実際にどのように行われているのですか。
Morris 米国では、大規模な前立腺がんセンター13施設で構成されるコンソーシアムを通じて症例登録を行い、PCWG2基準をもとに前立腺癌における臨床試験の実施方法を標準化しています。症例登録は費用と便益の点からも実行が非常に簡単です。我々の症例登録では、米国のすべての重要な臨床試験のために前立腺癌患者の画像データを保存しています。それらの患者はすべて前向き臨床試験に参加し、疾患のステージと治療内容などについて管理されます。さらにデータを共有し連携するために、前もって統計的計画をたてることによって、データベースから十分なプールデータを入手することができ、BSIは薬剤が承認を受けるための評価項目となり得ると考えています。