がん対策推進企業アクション(厚生労働省委託事業)が、2月14日に神田明神文化交流館(東京都千代田区)にて「日本人の起源とがん」「子宮頸がんを防ぐ」の2つをテーマとしたセミナーを開催した。
中川恵一氏(東大病院総合線腫瘍学講座)は第1部「日本人の起源とがん〜がんの県民性〜」というテーマに関し、「発がん要因は様々であるが、予防可能なものとして飲酒や喫煙、塩分接種、そして感染などがあげられる。感染型のがんには、子供のころのピロリ菌感染による胃がんや、C型B型肝炎ウイルスによる肝臓がんなどがある。胃がんは除菌や減塩、禁酒禁煙でリスクを減らせたり、肝臓がんは飲み薬でウイルスを排除できたりする。胃がんは秋田県、肝臓がんは佐賀県、乳がんは東京都が多くなっているなど、県民性がある。そのほかにもお酒に強い弱いなどの遺伝子の違いによって許容できる飲酒量が違うため、食道がんなどのリスクが違ったりする。このように県民性や遺伝子によってがんリスクが違ったりするため、まずは自分のリスクを知ることが大切だ」と語った。
続いて同氏は、第2部「子宮頸がんを防ぐ〜最近のトピックスから〜」というテーマにおいて、「子宮頸がんの発症原因となるのはHPV(ヒトパピローマウイルス)というウイルス感染だ。HPVは中咽頭がん、肛門がん、陰茎がんなどの発症原因となり得る。予防には性交渉前のワクチン接種が有効であり、17歳未満が接種することにより浸潤性子宮頸がんのリスクを88%減少させることができる。このHPVワクチンについては、令和3年11月26日に厚生労働省から積極的推奨が再開されることとなった。小学6年生から高校1年生相当の女子に定期接種、1997年度生まれから2006年度生まれの女性にキャッチアップ接種、東京都中野区では小学6年生から高校1年生相当の男子にも接種費用の全額助成をしている。しかし、ワクチン接種をしてもすでに感染していたり、異なる型のウイルスに感染していたりしてがんが発症する可能性があるため、がん検診を受けることが推奨されている。子供たちへのがん教育が学校の授業で行われている一方、大人は受診率が低いのが現状となっている。子供のころにワクチン接種しておくことで予防できるがんもあるが、子供がワクチン接種するには保護者の判断が必要である。そのためにはまず私たち大人が正しい情報を持たなくてはいけない」とまとめた。