メドトロニック、キヤノン、キヤノンITS、ザイオソフト、4社が連携し、CT 検査画像を複合現実で観察できるトレーニングシステム「MR Anatomy」を提供開始 ~医療従事者による肺の立体的な構造の理解促進に貢献~

2024.07.05

 日本メドトロニック株式会社(本社:東京都港区、以下 メドトロニック)、キヤノン株式会社(本社:東京都大田区、以下 キヤノン)、キヤノン IT ソリューションズ株式会社(本社:東京都港区、以下 キヤノン ITS)、ザイオソフト株式会社(本社:東京都港区、以下 ザイオソフト)4 社が連携し、コンピューター断層撮影装置(以下 CT)で撮影した肺の構造を複合現実(Mixed Reality、以下 MR)で観察できる医療従事者向けのトレーニングシステム「MR Anatomy」(以下 本システム)の提供を 2024 年 7 月上旬より開始する。近年、特に肺がん手術では、区域切除と呼ばれるより小さく腫瘍を取り除く手技が増加しており、それに伴い医療従事者による更なる精緻な肺の構造の理解が求められている。本システムは、現実世界に高精細な実寸大の肺の3D 画像を表示し、臓器や血管、病変の位置関係など、解剖学的構造の理解を深めることで、医療現場の教育・トレーニングの質の向上を目指す。

外科医による MR Anatomy の利用イメージ
MR Anatomy の視点イメージ(見え方)高精細な 3D 画像の観察が可能

高精細な 3D 画像での観察により肺の立体的な構造の理解を促進

 ザイオソフトの 3 次元医用画像処理システム 等により出力された 3D データ化した肺の CT 画像 を、キヤノンの MRシステムで現実空間に実寸大の 3D 画像で表示する。2D 画像では把握することが難しかった、症例ごとに異なる病変の位置や血管の走行、臓器の大きさなど、肺の解剖学的構造を実寸大で立体的に理解が可能。トレーニングでありながら実際の検査画像を使用することで、さらに理解を深めることができる。本システムを活用することで、長年の経験で培われる肺の立体的な構造の理解を促進し、医学生や若手外科医をはじめとする医療従事者の教育・トレーニングの質の向上に貢献する。

簡単準備と直感的な操作により手軽に使用することが可能

 3D データ化した肺の CT 画像を、専用アプリケーションを用いて PC でドラッグ&ドロップするだけでセットアップが完了し、すぐに観察を開始することができる。さらに、表示した肺の 3D 画像は、体験者の手で拡大・縮小や回転させることができ、直感的に操作することが可能。

サービスの詳細

名称:MR Anatomy

料金:月額使用料 25 万円(税抜)

 利用方法:ノート型 PC の専用アプリケーションに(CT 画像をもとにした)3D 画像を取り込み、キヤノンの MR 用ヘッドマウントディスプレイ「MREAL X1」を通じて、3D 画像の肺のモデルを観察する。なお、クラウドへのデータのアップロードの必要はない。

画像作成から観察までのイメージ

医療現場の課題

 外科医が安全で正確な手術を行うためには、臓器の構造を立体的に把握することが重要だが、その習得は容易ではなく、数年を要するとも言われている。特に肺がん手術では、区域切除と呼ばれる、より小さく腫瘍を取り除く手技が増加しており、それに伴い更なる精緻な肺の構造の理解が外科医に求められている。そこで近年では、3 次元医用画像処理システムで 3D 画像を制作し、平面の PC モニター上で観察をしているが、実寸大ではなく、かつ立体視できないため 3D の利点を生かしきれなかった。特に医学生や若手外科医にとっては、平面の PC モニター上で、短期間で立体的な構造を理解するのは容易ではない。

各社の役割について

 低侵襲な肺切除術に使用されるステープラーやシーリングデバイスなどの高度な技術を提供してきたメドトロニックは、これまで 60 年に渡り外科医の声に耳を傾け、その声を製品、サービス、ソリューションに反映し続けてきた。医療現場での課題に対し、キヤノン・キヤノン ITS が共有する MR に関する知見と技術、そしてザイオソフトの持つ 2D の CT 画像をリアルな 3D 画像に再構成する技術を組み合わせることで、MR による高精細な解剖観察が可能になった。

メドトロニックが4社合同での開発の実現をリードし、本システムの販売を担う。現場の声と技術をつないだ本システムの提供により、医療従事者、患者さんを含む、医療全体の発展に貢献していく。

今後の展望

 2024 年中、4 施設の呼吸器外科への「MR Anatomy」の導入を予定しており、そのパイロット導入の成果を検討の上、発売から 3 年以内に 30 施設での導入を目標としている。また、肺以外の臓器での活用や、術前シミュレーションにおける使用ニーズが高まった際には、医療機器としての申請を目指す。

お問い合わせ

日本メドトロニック

Web サイト:http://www.medtronic.co.jp/