中部国際医療センターは、7月4日、銀座松竹スクエア(東京都・中央区)にて「変わる肺がん治療、患者の新たな選択肢」と題したプレスセミナーを開催した。
はじめに、司会の坂田一広氏(中部国際医療センターマーケティングプロデューサー)が中部国際医療センターの概要について「中部国際医療センターは、2022年の1月に新築オープンをした病院で、世界に通用するハイレベルの医療を適用するという決意を込めた名称である。特にがん治療に力を入れており、設備、人材ともに大学病院に負けていないと考えている。今春には陽子線がん治療センターが稼働し、陽子線がん治療を行う施設は全国で20番目、中部、東海地方では3か所目となる」と述べた。
続いて、樋田豊明氏(中部国際医療センター肺がん治療センター長呼吸器内科部長)が、肺がんの治療法の進展について語った。樋田氏は、「肺がん治療において、特異的にがん細胞に作用する分子標的薬を用いる新しい方法が開発され、従来の抗がん剤と比べて正常細胞への影響を最小限に抑えられるようになった。
ただ、分子標的薬は転移したものには効かなかったり、耐性を持つ細胞が出てくることがあるといった問題がある」と話す。
さらに陽子線治療について樋田氏は、「陽子線治療は日本国内での適用範囲が拡大しており、特に手術が困難な早期肺がんに対して有効である。陽子線は腫瘍の部分で最大エネルギーが発生し、腫瘍を超えるとエネルギーがなくなるが、放射線は周囲にも影響してしまうので副作用の観点からも陽子線が有利であると言える。
今は手術困難な早期肺がんが対象となっているが、今後の適用拡大も見込まれている」と語る。
最後に樋田氏は、「最新の治療法と精神的なサポートを組み合わせることで、肺がん患者の生存率向上を目指していく」と語った。