日本メドトロニック、キヤノン、キヤノンITソリューション、ザイオソフトが連携し、CT検査画像を複合現実で観察できるトレーニングシステム「MR Anatomy」の提供を開始

2024.07.17

 日本メドトロニック株式会社、キヤノン株式会社、キヤノンITソリューションズ株式会社、ザイオソフト株式会社は、4社が連携し、コンピューター断層撮影装置で撮影した肺の構造を複合現実(Mixed Reality、以下 MR)で観察できる医療従事者向けのトレーニングシステム「MR Anatomy」の提供を2024年7月より開始する。

 MR Anatomyは、医用画像処理ワークステーションで再構成したCTデータを、専用アプリケーションに対応したPCに転送し、キヤノンのMRシステム「MREAL X1」で観察するシステムである。このシステムにより、現実世界に高精細な実寸大の肺の3D画像を表示させ、臓器や血管、病変の位置関係など、解剖学的構造の理解を深めることで、医療現場の教育・トレーニングの質の向上を目指すことができる。

「MR Anatomy」によって現実世界に実寸大の肺の3Dイメージ画像を表示させることができる。
MRシステム「MREAL X1」

 提供開始に合わせて、4社はメディア向けソリューション体験会とソリューション概要説明を2024年7月3日(水)にキヤノン下丸子本社(東京都大田区)で開催した。

 ソリューション概要説明では、はじめに日本メドトロニックの日本法人の1社であるコヴィディエンジャパン株式会社の五十嵐礼恵氏が登壇した。

 五十嵐氏は近年の日本人の肺がん疾患数や手術の複雑さに触れ、「解剖構造の誤認は許されないが、現実の外科医にとって、限られたトレーニング時間の中で、より詳細な解剖構造の理解を進めるのは容易ではない。従来の2Dのモニタでは、モニタサイズや奥行きの把握に課題があったが、MR Anatomyはその課題を解決させる」と語った。

五十嵐礼恵氏(コヴィディエンジャパン株式会社)

 次に、ザイオソフトの重友大輔氏が登壇。ザイオソフトは25年前に日本で初めて医療用3D画像解析を実用化した企業であり、高度で先進的な医用画像処理アプリケーションを開発・販売している。

 重友氏は「われわれが培ってきた画像認識や再構成の技術によって、二次元のデータをよりリアルな3D画像情報にすることができ、より広く、より深く医療現場のお役に立てるのではないかと考えている」と述べた。

重友大輔氏(ザイオソフト株式会社)

 続いて登壇したキヤノンの村木淳也氏は、これまで製造業や建築業での活用してきたMREALを医療業界に導入した理由を説明。「今いる現実空間に、CGの3Dデータをあたかもそこに在るかのように融合する技術を用いて医療教育トレーニング、ならびに働き方の改革にも貢献していきたい」と話した。

村木淳也氏(キヤノン株式会社)

 最後に、日本メドトロニックの平尾崇史氏がMR Anatomyの今後の展望について説明し、非医療機器として教育分野での展開していく計画を述べた。また、「顧客のニーズ次第では、術前シミュレーションや術中シミュレーションでも活用して頂けるように医療機器展開も視野に入れている」と力強く語った。

平尾崇史氏(日本メドトロニック株式会社)