(株)日立メディコは12月14日、日立メディコ柏事業場(千葉県柏市)にて工場見学会を開催した。開会に際して、三木一克氏(同社執行役社長)が挨拶を述べた。同氏は本年の同社におけるトピックスとして、11月に初めて単独開催された「MEDICONNECTION in 秋葉原」について紹介。同展示会は9月に大阪でも開催されており、同氏は「今後も地域ごとに、製品に触れてもらう機会を作って行きたい」と語った。また、11月末に開催されたRSNA(シカゴ)ではヘルスケアコーナーにおいて、日立グループの製品も設置し、4月に開催されるITEMでも日立グループとして展示していくという。
次に手嶋俊明氏(同社執行役専務柏事業場代表者)より柏事業場概要について発表があった。同氏は「日立メディコ製品(一部日立アロカ製品も含む)の8割強の生産をしている柏事業場ではJIT(Just In Time方式)生産改革を進めており、生産能力50%UP、生産棚卸手持日数30日化を目的とし、リードタイムを早め、迅速に出荷することを目標としている。この生産改革により生産のリードタイムは半分になった」と述べた。主な取り組み内容としては「各生産職場のレイアウト最適化、工程の同期化、進捗の見える化、配膳方法の見直し」とのこと。また、本年10月より建設を着工し始めた「日立医療系統(蘇州)有限公司新工場」についても発表され、同氏は「新工場は全体で13万2千平米にも及び、400名前後の雇用を計画。2012年1月販売開始予定のXR新製品(SX-A300)は、中国(蘇州)の新工場で生産し、日本や東南アジア、中東へドロップシップしていく」と語った。
続いて、同事業場内にあるメディカルフォーラム柏(ショールーム)見学が行われた。広々とした室内では、CTシステム「SCENARIA」やMRIシステム「ECHELON Vega」「OASIS」、PACS 「ImageConcier」、超音波「HI VISIONシリーズ」「ProSoundシリーズ」、外科用X線システム「SiriusFloating/C (DHF-105CX-PC)」、X線透視診断装置「VersiFlex VISTA」などが展示されていた。
その後には生産現場・トレーニング施設等の見学会が催された。まず訪れたのはEMC棟という電波暗室を設けた建物。電波暗室とは製品の電磁波により他の装置に影響を与えないかなど、国際規格であるIEC60601-2に基づいて検査する場所。広い部屋の中には、CTのような大型で重量のある装置を入れることもできるという。
続いて訪れたのはトレーニング施設。ここは主に教育施設として使用され、1階の実習室では年間1,000名が訪れ、MRIやCTの実機を使用しながら講義が行われているとのこと。同建物の4階ではサービスセンターがあり、ISO9001に基づくサービス品質の提供を目指して、国内外における装置の監視をし、サポートを行っている。
生産現場の中は工程ごとに白線で仕切られ、整備されていた。生産現場内には放射線管理区域があり、ガントリーを最速の状態で回転させ点検し、アクリルや水を入れた容器のファントムを使って画像キャリブレーションを行うなど、出荷前に全製品を対象に最終チェックをしているという。さらに、生産現場の壁には階級ごとに色分けされた技能検定有資格者の名前が貼り出され、作業員一人一人が技能を持つことでモチベーションを高め、各製品の品質向上にもつなげているという。なお、来年春に薬事獲得を目指している「ECHELON OVAL」の最終調整も同生産現場で行われていた。
最後には質疑応答の時間が設けられ、その中で三木氏は「RSNAで日立グループとして出展したように、今後、日立グループはヘルスケア分野に積極的に取り組んでいく。陽子線がん治療システムが米国の大手総合病院メイヨー・クリニック(Mayo Clinic)に2式導入することを踏まえ、今後も治療と診断機器ともにハイエンドな病院に導入していくことが望める。また、それにより高くなっている米国における日立ブランドのケアをするためにも、グループ全体で力を入れていく」と語った。