東芝メディカルシステムズ(株)は8月22日、東京ステーションカンファレンス(東京都千代田区)にてメディアセミナー「関節リウマチのパラダイムシフト」を開催した。今回のセミナーが2回目である。
本セミナーではまず、太刀川博之氏(同社広報室室長)が登壇し、「高齢化の進展に伴い、QOLの低下をもたらす関節リウマチの社会的影響は増大しつつある一方で、画期的な治療薬の登場や早期診断・治療により、従来治らないとされていた関節リウマチが治る可能性が高くなっている。その早期診断において期待されている超音波診断装置による関節エコー診断を広く知ってもらいたい」と本セミナー開催の趣旨を説明した。
続いて、池田 啓氏(千葉大学医学部附属病院アレルギー・膠原病内科)が登壇し、講演を行った。
池田氏はまず、関節リウマチの概要を述べた上で、関節リウマチをめぐる状況はこの20年で大きく変わったと話した。「生物学的製剤の登場により、リウマチ治療に対する有効手段を得たが、高額な薬剤費や重篤な副作用が比較的高頻度に起こるという問題がある。従って、患者様の負担を減らすためにも適切な時期に、適切な治療を行うことが求められるが、従来の診察ではそれが難しかった。しかし超音波診断装置による関節エコー診断により、より精密な診断が可能となり、関節リウマチの適切な治療が行えるようになった」と関節エコー診断の有用性について語った。「エコー診断はX線やCTとは違い、放射線による被ばくといったことがなく、繰り返し検査を行うことができる。さらに患部を動かしながらの診断も可能である」といった超音波診断の利点も述べた。
さらに、「パワードプラを用いることにより、血流シグナルを捉えることができるため、滑膜の炎症をリアルタイムに確認することができる。グレースケールと組み合わせることで、厚くなった滑膜が古いものか新しいものかの判断も可能となる」とし、超音波診断ならではの関節リウマチの評価方法を話した。また、プローブを動かすことで連続した、三次元的な病態の広がりを見ることが可能であり、診察では捉えられない滑膜の様子を捉えることができ、関節エコー診断は従来の診察よりも数段進んだ診断であるとした。
加えて、「X線では1.0mm以上の大きさの骨びらんしか検出できないが、超音波では0.5mmの大きさの骨びらんも検出することができ、X線では追えないような、微妙な変化を捉えられる可能性がある。パワードプラを用いることで滑膜炎と関節破壊の両方を同時に捉えることもできる」と述べた。「従来の関節リウマチの評価方法は、X線で関節破壊を評価するというものであったが、関節破壊の原因となる炎症の段階での評価が可能なのが関節エコーであり、関節リウマチの評価の概念が変わった」とし、関節リウマチ診療における画像診断のパラダイムシフトが起きていることを強調した。
また、関節エコーによる診療技術の向上についても述べ、「診察後やX線の読影後に関節エコーを実施することによって、フィードバックによる技術の向上も望める。さらに関節エコーを用いることで穿刺のハードルが低くなり、穿刺技術向上にも繋がる。関節エコーはリウマチ医の聴診器と言える」として講演を締めくくった。
最後に小山健二氏(同社超音波営業部)が同社超音波診断装置「Aplio 500」に搭載されている最新技術「Fly Thru」と「Smart Fusion」についての説明を行った。
「Fly Thru」は3Dの技術であるが、従来の3Dと異なる点は、内側から外側を見ていくという点である。具体的には、管腔内の視点から管腔壁を見たように表示することができ、さらに中枢から末梢へ、抹消から中枢へ、任意の方向から観察することも可能となっている。内視鏡のように管腔内や血管内を立体的に移動する画像が得られ、疾患の3次元的把握が容易になるこの技術は同社独自の技術であり、血管全般、胆管、膵管、大腸、子宮、膀胱、尿管、乳管の診断支援といった分野での応用が期待されている。
「Smart Fusion」は他モダリティのボリュームデータを超音波画像と連動して参照できる技術である。この技術を用いることにより、超音波装置の中にCTやMRIの画像を取り込み、両方の画像をリンクさせることでエコーで見えにくい症例を容易に見つけることができる。同様の技術は他社製品にもあるが、同社の製品においてはセンサーを限りなく小さくすることにより、装置と一体化させて驚異的なコンパクトさを実現しているという。
本セミナーではまず、太刀川博之氏(同社広報室室長)が登壇し、「高齢化の進展に伴い、QOLの低下をもたらす関節リウマチの社会的影響は増大しつつある一方で、画期的な治療薬の登場や早期診断・治療により、従来治らないとされていた関節リウマチが治る可能性が高くなっている。その早期診断において期待されている超音波診断装置による関節エコー診断を広く知ってもらいたい」と本セミナー開催の趣旨を説明した。
続いて、池田 啓氏(千葉大学医学部附属病院アレルギー・膠原病内科)が登壇し、講演を行った。
池田氏はまず、関節リウマチの概要を述べた上で、関節リウマチをめぐる状況はこの20年で大きく変わったと話した。「生物学的製剤の登場により、リウマチ治療に対する有効手段を得たが、高額な薬剤費や重篤な副作用が比較的高頻度に起こるという問題がある。従って、患者様の負担を減らすためにも適切な時期に、適切な治療を行うことが求められるが、従来の診察ではそれが難しかった。しかし超音波診断装置による関節エコー診断により、より精密な診断が可能となり、関節リウマチの適切な治療が行えるようになった」と関節エコー診断の有用性について語った。「エコー診断はX線やCTとは違い、放射線による被ばくといったことがなく、繰り返し検査を行うことができる。さらに患部を動かしながらの診断も可能である」といった超音波診断の利点も述べた。
さらに、「パワードプラを用いることにより、血流シグナルを捉えることができるため、滑膜の炎症をリアルタイムに確認することができる。グレースケールと組み合わせることで、厚くなった滑膜が古いものか新しいものかの判断も可能となる」とし、超音波診断ならではの関節リウマチの評価方法を話した。また、プローブを動かすことで連続した、三次元的な病態の広がりを見ることが可能であり、診察では捉えられない滑膜の様子を捉えることができ、関節エコー診断は従来の診察よりも数段進んだ診断であるとした。
加えて、「X線では1.0mm以上の大きさの骨びらんしか検出できないが、超音波では0.5mmの大きさの骨びらんも検出することができ、X線では追えないような、微妙な変化を捉えられる可能性がある。パワードプラを用いることで滑膜炎と関節破壊の両方を同時に捉えることもできる」と述べた。「従来の関節リウマチの評価方法は、X線で関節破壊を評価するというものであったが、関節破壊の原因となる炎症の段階での評価が可能なのが関節エコーであり、関節リウマチの評価の概念が変わった」とし、関節リウマチ診療における画像診断のパラダイムシフトが起きていることを強調した。
また、関節エコーによる診療技術の向上についても述べ、「診察後やX線の読影後に関節エコーを実施することによって、フィードバックによる技術の向上も望める。さらに関節エコーを用いることで穿刺のハードルが低くなり、穿刺技術向上にも繋がる。関節エコーはリウマチ医の聴診器と言える」として講演を締めくくった。
最後に小山健二氏(同社超音波営業部)が同社超音波診断装置「Aplio 500」に搭載されている最新技術「Fly Thru」と「Smart Fusion」についての説明を行った。
「Fly Thru」は3Dの技術であるが、従来の3Dと異なる点は、内側から外側を見ていくという点である。具体的には、管腔内の視点から管腔壁を見たように表示することができ、さらに中枢から末梢へ、抹消から中枢へ、任意の方向から観察することも可能となっている。内視鏡のように管腔内や血管内を立体的に移動する画像が得られ、疾患の3次元的把握が容易になるこの技術は同社独自の技術であり、血管全般、胆管、膵管、大腸、子宮、膀胱、尿管、乳管の診断支援といった分野での応用が期待されている。
「Smart Fusion」は他モダリティのボリュームデータを超音波画像と連動して参照できる技術である。この技術を用いることにより、超音波装置の中にCTやMRIの画像を取り込み、両方の画像をリンクさせることでエコーで見えにくい症例を容易に見つけることができる。同様の技術は他社製品にもあるが、同社の製品においてはセンサーを限りなく小さくすることにより、装置と一体化させて驚異的なコンパクトさを実現しているという。
●池田 啓氏(千葉大学医学部附属病院アレルギー・膠原病内科)による講演の1部を動画でご覧頂けます。
その1
その2