(株)AZEは2014年1月17日、本社大会議室(東京都千代田区)にて、片平和博氏(熊本中央病院)を招き、2014年新春特別講演会を開催した。
開催にあたり、山崎和人氏(同社営業推進担当)は、「本日は既にトレーニングも兼ねてご協力いただいている、2014年4月に開設される東千葉メディカルセンターより、2名の診療放射線技師にお越し頂いた。ご講演者である片平和博先生からも、非常に面白い話を聞いていただけると思うので楽しんでいってほしい」と挨拶をした。
続いて、畦元将吾氏(同社代表取締役)のビデオメッセージが流された。畦元将吾氏はメッセージの冒頭にて日頃の感謝を述べると共に、「皆様に新しいシステムを、ぜひ私自身からお伝えしたい」と語り、同社の最新ネットワーク型読影診断コンソールである「Phoenix Lexus network(フェニックス レクサス ネットワーク)」を紹介した。
Phoenix Lexus networkは単なるビューワでもワークステーションでもない「次に来るもの」というコンセプトの基に開発された。高性能ボリュームビューワと高機能ワークステーションを、ネットワークの一員としてAll in Oneに融合。精度と効率を高め、放射線科医師や診療放射線技師、さらには他科の医師といった全てのユーザのニーズに応えるシステムになっている。重ね合わせの技術では他の追随を許さないと言われているPhoenixのビューワ機能に加え、専用のボリュームレンダリング機能を搭載。また、個数と色や名前などを自由に設定できるタグ機能、超高速アルゴリズムで瞬時に結果が得られる高精度剛体/非剛体ボリュームレジストレーション機能、過去画像とシンクロさせたリアルタイムのSliding MIP/MPRを可能とするスライディング MIP機能など様々な機能により読影診断をサポートする。さらにCT冠動脈・心機能解析、computed DWI、体脂肪解析など最新の解析アプリケーションを標準搭載している。将来的にはクラウドサービスにも対応を予定している。
その後、畦元秀隆氏(営業本部東日本営業部長)による挨拶が行われた。畦元秀隆氏は、「先ほど紹介させていただいたPhoenix Lexus networkをはじめとし、本日来ていただいたユーザ様のご意見を取り入れ、今後もより良い製品づくりに励んでいきたい。また、このような会の開催を今後も予定しているので、ぜひ様々な意見を頂きたい」と語った。
片平氏による講演「当直医を救う絞扼性イレウスの最適断面再構成術を極める~臨床に役立つ拡散強調画像パッケージの紹介もあわせて~」では、「当直医を救う放射線技師としてのプロ意識」と「臨床に役立つcomputed DWIの有用性」の2大テーマについて解説がされた。
前半のテーマではまず、緊急画像診断におけるVR画像として、VRは術前マッピングに最適だが、緊急の場では診断を手助けする画像出しや疾患ごとの最適断面の設定の方が重要であるとした。また、絞扼性イレウス診断に最適な断面をSliding法を用い2 Stepで作成する方法として、閉塞部位を同定した後狭窄部位を360°回転させ、絞扼の有無を判定、3本の拡張した腸管が1点に集中する断面を探す方法を紹介した。緊急画像診断では、常に診断を意識することで配信される画質が変わるため、撮影のプロであると同時に臨床的有用性のある画像出しを行うプロであれと述べた。
後半のテーマでは、まず躯幹部MRIではdiffusionが有用であると語った。また、拡散強調画像の有用性は優れたコントラストによる前立腺癌などにおける視認性の向上にあるとし、見落としを減らせると述べた。続いてb値による画像の変化を示し、computed DWIを利用した、高いSN比を保ったままUltra-high b DWIを撮像するコツを紹介した。最新のDWIソフトウェアでは任意のb値とADC値からcDWIを作成可能であると語り、さらにmDWI観察時には自動で最適WW/WLを設定してくれる機能を紹介。これにより、Ultra-high b DWIで不可能であったisotropic化を実現したと発表した。使い勝手の良さに加え、MRI装置の限界を超えた画像を取得することの有用性について言及した。