キヤノンマーケティングジャパン、医療事業の強化・拡大を目指した成長戦略を提示、新サービスの提供を発表

2014.10.03

キヤノンマーケティングジャパン、医療事業の強化・拡大を目指した成長戦略を提示、新サービスの提供を発表
~2017年までに医療事業の売上高400億円と目標~

鷲足氏
図1(クリックで拡大)
キヤノンマーケティングジャパン(株)は本社(東京都港区)にて医療事業の成長戦略についての事業説明会を行った。同社は事業の多角化とサービス事業会社化を掲げ、特に医療事業の強化・拡大に注力している。会ではキヤノンマーケティングジャパングループの医療画像ソリューション事業戦略について、鷲足猛志氏(同社総合企画本部HCS推進室)が説明を行った。
同氏は医療画像システムの現在の課題として、「医療界の膨大なボリュームデータを活用・管理するソリューションを提供したい」と方向性を示す。同社の戦略としては、イメージングカンパニーとしての“医画像IT事業への本格参入”と、販売事業からシステム利用型の“サービス事業への本格参入”を掲げているという。
同社は2014年9月1日付けで株式会社AZE(以下AZE)の全株式を取得している。これは医画像IT事業への本格参入の第一歩と言える。AZEは3D医療画像解析システムの業界において3位(独立系では2位、矢野経済研究所調べ)に位置しており、「このM&Aにより、両社の強みを融合させ、本格的に事業を展開させる」と同氏。M&Aの目的と期待するシナジー効果としては、AZEの商品力と同社の企業力の融合、医用画像処理技術・ソリューション力の融合、顧客基盤・顧客接点(販売力)の融合を挙げた。
 次に、“サービス事業への本格参入”として、医療画像クラウドサービス「Medical Image Place」の開発について説明を行った。Medical Image Placeは同社が提供していく医用画像クラウドサービスの総称。医療従事者が医療サービスを効率的に行うための場所を提供することを目的とし、遠隔読影インフラサービス、医用画像外部保管サービス、医用画像システムサービスの3つを提供する(図1)。同社は読影サービス事業者である北海道大学発のベンチャー企業、(株)メディカルイメージラボとの共同研究をし、キヤノンマーケティングジャパンが持つ技術やインフラ、メディカルイメージラボが持つ遠隔読影の経験を最大限に活用し、その開発に至った。以下、サービスの概要である。

1. 遠隔読影インフラサービス
遠隔読影サービス事業者向けのクラウドサービス。同社としては読影事業者と依頼施設を結ぶインフラを提供するもの。
2. 医用画像外部保管サービス
医療機関向けクラウドサービス。施設内で発生する画像データの保管庫を提供する。
3. 医用画像システムサービス
同じく医療機関向けクラウドサービス。施設内で発生する画像の保管から表示アプリケーションを提供するもので、施設間連携も可能になる。
同氏は、現在の遠隔読影の課題として、依頼病院における煩雑な依頼運用や依頼検査の進捗管理、また読影事業者におけるシステム投資負担や検査振分けの公平性を挙げ、これらを改善していくようなソリューションの提供に意欲を見せる。同サービスの特徴としては、①キヤノングループによるワンストップサービスを実現すること、②充実したセキュリティ、③画像処理・通信技術による読影負荷の低減、また④利用者間の専用SNSや、依頼検査自動振り分けなどの充実した運用補助ツールが備わっていること、が挙げられる。
今後同社はAZEの3D医療画像解析システムやその技術・開発力、そしてMedical Image Placeというクラウドサービス、3D関連商材などを生かし、医療画像ソリューション事業の本格展開に向けて取り組んでいく構えだ。

続きは「RadFan」11月号(2014年10月末日発売)にてご高覧ください。