富士フイルム、 世界最軽量2.6kgのカセッテDR「FUJIFILM DR CALNEO Smart」、販売開始

2014.11.27

低線量で高画質、内蔵メモリに画像100枚、世界初の抗菌仕様

富士フイルム(株)がバッテリー交換タイプのカセッテDRとしては世界最軽量となる「FUJIFILM DR CALNEO Smart」(カルネオ・スマート)シリーズを販売開始する。新開発のノイズ低減回路と新画像処理ソフト「Virtual Grid」(バーチャル・グリッド)を組み合わせることで低線量・高画質を実現。世界初の抗菌仕様を採用。コンソールレスを可能にする内蔵メモリ保存機能を搭載するなど、スマートに進化したカセッテDRの登場だ。

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FUJIFILM DR CALNEO Smart(左からバッテリー、電源供給ユニット、フラットパネルセンサ・ドッキングスタンド)
A_グリッドなし
グリッドなし
A_バーチャルグリッド8:1
バーチャルグリッド
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後藤禎一氏(富士フイルム執行役員、メディカルシステム事業部長)
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早川利郎氏(富士フイルム執行役員、メディカルシステム開発センター長)
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佐々木康夫氏(岩手県立中央病院副病院長、中央放射線部長)
 富士フイルム(株)は11月25日、都内で記者会見を開催し、バッテリー交換タイプのDR方式・カセッテサイズ・デジタルX線画像診断装置としては世界最軽量の「FUJIFILM DR CALNEO Smart」シリーズを12月1日から販売開始すると発表した。新開発のノイズ低減回路を搭載。新画像処理ソフトウェアと組み合わせることで、低線量・高画質を実現した。ハードな現場に耐えうる堅牢性、使いやすさへのこだわり。これまでにないスムーズで快適な撮影ができそうだ。

■国内台数シェア48.5%
 富士フイルムでは、2016年度の売上高を対2013年度比7.8%増の2兆6300億円、当期純利益を48%増の1,200億円と見込み、競争力の拡充を図っている。
 同社3つ部門、メディカルシステム、医薬品、ライフサイエンスのうち、コア事業はメディカルシステム。X線画像診断装置や医療IT、超音波装置、内視鏡、IVDなどの販売が近年、大きく成長している。
昨今、カセッテDR市場が拡大するなか、富士フイルムの国内台数シェアは48.5%。市場全体の販売台数は3,765台。同社では今回発売する「CALNEO Smart」の販売目標を年間3,000台に設定。新興国向けにも力を入れ、海外シェア(現在20%)の拡大を目指し、各国に駐在員を派遣して営業強化を図っている。

■25%のX線量
 今回発売する「CALNEO Smart」には、独自開発したノイズ低減回路を搭載することで、透過時にX線が吸収されやすく撮影画像のコントラストが低下する「心臓や縦隔部などの撮影」において、低濃度部領域の大幅なノイズ抑制が可能となった。
 さらに、撮影画像から推定された散乱線成分を元の撮影画像から除去することで、画像のコントラストを高めることができる新画像処理ソフトウェア「Virtual Grid」(バーチャル・グリッド)をオプションで用意。「CALNEO Smart」と「Virtual Grid」を組み合せることで、金属製フィルターの「グリッド」を使用しなくても、画像のコントラストと粒状性が向上し、CD方式のデジタルX線画像診断装置と比べ、25%のX線量で高画質な画像が得られる。

■内蔵メモリに画像100枚
 従来CRの回診撮影ではカセッテに画像が保存できないため、複数枚のカセッテを持ち運んだり、1回の撮影ごとにCRカセッテを読み取ったりする作業が必要であり、撮影者に多くの労力と手間が伴っていた。
 一方、「CALNEO Smart」では、標準搭載した「メモリモード撮影」により、コンソールがない環境でもパネル本体に画像を最大100画像まで保存でき、撮影業務の負荷を軽減できる。回診撮影用の専用システムを構築することなく、最低限の投資で一般撮影から回診撮影までDR化が可能。回診撮影の機会が少ないため、専用設備を持たない中小規模の医療機関でも、この装置を回診時に活用することができる。

■世界最軽量、14×17サイズで2.6kg
 金属の中で最も軽量で強度性能に優れたマグネシウム合金を採用し、軽くて強い建築構造の手法として広汎に利用されるシェル構造をフラットパネルセンサの裏面カバーの基礎フレームに採用した。さらなる強度確保のため、内側全面にリブ補強した独自考案の新フレームにより、14×17インチが2.6kg、17×17インチが3.2kgと世界最軽量を実現しながら、全面耐荷重310kgと世界トップクラスの堅牢性を達成した。
 カセッテ側面の角が丸みをおびたラウンド形状は、撮影用テーブルからカセッテを持ち上げる際の指かかり効果や、病棟撮影時の患者とベッド間への挿入性が向上し、撮影者の作業労力軽減にも効果を発揮する。

■世界初の抗菌仕様
 独自開発の抗菌コート技術「HYDRO AG」(ハイドロエージー)を活用し、カセッテ全面に抗菌コートを施した。ハイドロエージーは、銀系抗菌剤(銀イオンを徐々に放出する機能を持ったセラミック微粒子)を分散した、水となじみやすい超親水性の樹脂を塗布する富士フイルムの技術だ。
 一般的に、銀系抗菌剤を使った抗菌コートでは、抗菌剤に空気中の水分などが作用して、細菌を不活性化する銀イオンが溶出される。一方、ハイドロエージーでは、塗布膜表面だけでなく、塗布膜内部の抗菌剤にも水分が作用して、塗布膜内部からも銀イオンを供給。これにより塗布膜表面の銀イオン濃度が高くなり、従来の抗菌コートと比べて約100倍の抗菌性能を実現した。
 また、超親水性膜によりカセッテ表面に付着した汚れが拭き取りやすくなるので、清潔で衛生的に使用することができる。

■フラットパネル4種類を展開
 パネルの使用する蛍光体は、温度や湿度などの環境変化に強いGOS(ガドリニウムオキサイドサルファ)と、X線変換効率に優れたCsI(ヨウ化セシウム)の2種類から選べる。サイズはそれぞれ14×17インチ(2.6kg)と17×17インチ(3.2kg)を提供。標準ユーザー渡し価格は2,190万円(税別、GOSモデル、14×17インチ)。