島津製作所、「第92回レントゲン祭」並びに「記念講演会」を開催

2015.02.16
三品幸男氏
須賀大作氏
会場写真
 (株)島津製作所が2015年2月10日、同社本社・三条工場本館1階大ホール(京都府中京区)にて、「第92回レントゲン祭」並びに「記念講演会」を開催した。
 同式典はX線を発見し、今日の医療の進歩に多大な貢献をしたヴィルヘルム・レントゲン氏の功績を称え、毎年同氏の命日に開催されているもので、献花や黙祷が行われた。
 特別講演会では同社医療機器事業部グローバルマーケティング部の三品幸男氏による「島津製作所の放射線治療分野への取り組み」と題した講演が行われた。
 講演の中で三品氏は同社の放射線治療の歴史や、同社が北海道大学と共同で開発を進めた動体追跡システムについて話した。動体追跡システムとは呼吸等で動きのある臓器の腫瘍に対するピンポイント放射線治療である。体内の腫瘍は同じ患者でも朝と夕方で動きが変わり、毎日同じ動きをするわけではない。同社が2013年7月に発売したRTRT(Real-time Tumor-tracking Radiation Therapy)システムの最新モデルSyncTraXが動態追跡治療を可能にする。同モデルは呼吸性の移動に伴う臓器の放射線治療において、透視画像上(2方向)で腫瘍近傍に埋め込まれた金マーカをパターン認識により自動追跡。金マーカが治療計画位置から数mmの範囲にある場合0.05秒後に治療ビームを待ち伏せ照射することで、照射体積を最大で1/4に減らし、正常領域への不要な被ばくを大幅に低減可能にした。
 2人目の講演者は兵庫県立粒子線医療センター参与の須賀大作氏。同氏は「粒子線治療の最新動向について」講演した。特に会場の注目を引いたのは「新陽子線治療装置」についてである。同装置は「装置の省スペース・省コスト化」「照射技術の自在な選択」「線量強度の向上」「治療効率の向上」「治療精度の向上」をコンセプトに掲げ、従来型の約40%にサイズダウンした省スペース型装置となっている。
 同氏は多くの粒子線治療施設の開設にも携わっており、その一環として、「既存設備を利用したリーズナブルな設計」「装置仕様および機能へ影響を与えない設計施工」といった装置と建屋の一体プランの提案も行っている。
 今後は「装置の更なる省スペース化、加工できる放射線と画像システムの有効利用、治療適応の拡大などを目指していく」という。