井野賢司氏
越智茂博氏
赤城輝哉氏
大原千季氏
鈴木勝久氏
芳賀喜裕氏
木口雅夫氏
藤代 渉氏
柳川康洋氏
井田義宏氏
君島正一氏
神山 浩氏
梁川範幸氏
赤羽正章氏
第7回ADCT研究会が、1月23日(土)、東京大学伊藤国際学術研究センター(東京都文京区)にて開催された。
396名収容可能なホールはほぼ満席であり、多くの参加者が一堂に会する中、当番世話人である井野賢司氏(東京大学医学部附属病院)が挨拶として開催の喜びと感謝を述べた。
その後、東芝メディカルシステムズ(株)よりRSNA2015の報告があり、当日の様子が紹介された。同社ブース来場者数は2208名にものぼったという。AquilionTM Lightningの紹介もされ、「今後もさらに技術開発に注力していきたい」と語った。
次に、越智茂博氏(東千葉メディカルセンター)、赤城輝哉氏(三井記念病院)座長のもと、6題の一般演題が発表された。
1題目は大原千季氏(医療法人社団清風会五日市記念病院)が「4D-CTAによるMatas Test~脳動脈瘤術前における血行動態評価~」の題で、欠席の竹本幸平氏に代わって発表した。Matas Testは閉塞予定の血管をバルーンにより一時的に閉塞させて、非閉塞血管からの血管撮影を行い、血行動態の評価など、場合によっては脳血流シンチを用いて血流状態を定量的に評価する検査。同院ではMatas Testを4D-CTAで施行しており、撮影条件やポイントを紹介。ポジショニングは患者の顎を軽くあげて自然な立位の状態に近づけ、撮影開始直前に患側の総頸動脈を手指により圧迫するのがポイントで、同法は血行動態評価のための簡易的な検査法として認識する必要があるが、撮影範囲をWillis動脈輪に限局すればAquilion ONEに限らず、Aquilion PRIMEでも検査可能であると述べた。
2題目は鈴木勝久氏(慶應義塾大学)による「Lung Subtraction 撮影のポイント」。一般的に慢性血栓閉塞性高血圧(CTEPH)の画像診断には肺血流シンチが適応されるが、同院ではLung Subtractionを用いて高い正診率を得ている。Dual-Energy CTによる撮像よりも2~2.5倍のコントラストで描出ができ、事前の患者への呼吸に関する十分な説明と最適な造影タイミングにより精度の高い検査ができるという。
3題目は芳賀喜裕氏(一般財団法人厚生会仙台厚生病院)による「新しい冠動脈サブトラクションCTA法の構築」。冠動脈サブトラクションCTAは、MASK像とコントラスト像を2回に分けて撮影するため、体動などによるミスレジストレーション(ミスレジ)が問題となる。本演題では1呼吸でコントラスト像を撮影後、数秒で遅延撮影を行い、その遅延画像をMASK像として利用する方法を発表。本法はサブトラクション画像のCT値が全体的に低下するが、1呼吸で短時間撮影が可能なためミスレジを軽減できる。今後は患者によって造影剤のwash outにバラツキがあるため、造影剤注入法のさらなる検討が必要であると論じた。
4題目は木口雅夫氏(広島大学病院)による「FIRSTを用いた冠動脈解析画像の評価」。新たな画像再構成法である逐次近似画像再構成(Full Iterative Reconstruction:Full-IR)はさらなるノイズやアーチファクトの低減に加え、分解能向上も期待できる。本演題ではFull-IR Forward projected model-based Iterative Reconstruction SoluTion(FIRST)プロトタイプの画質を冠動脈模擬病変を用いて評価。ノイズはFBPと同程度、コントラストは約70%改善した。特に高コントラスト領域で分解能が向上し、画質の改善が認められ、さらにブルーミングアーチファクト、部分体積効果の軽減にも有効であるという結果が得られた。
5題目は藤代 渉氏(平塚市民病院)による「4DCTによるエンドリークタイプ診断」。大動脈に対する治療方針を決定するにあたってエンドリークのタイプ診断は非常に有用であるが、従来のCTA診断では流入血管と流出血管を形態的に判断することが困難なため、十分な診断能が得られず、血管造影を要することが多いとされていた。エンドリークタイプによって交通する動脈の血流動態は異なるため、4DCTで流入血管、流出血管を確認できればタイプ診断の精度が向上するといえるが、研究により、4DCTを用いればタイプⅠまたはⅢと、タイプⅡと区別することにおいては全例において適切に行われ、早急な対応の必要性の判断に有用性が高いと示された。
6題目は柳川康洋氏(大阪大学医学部附属病院)による「国内初となる心カテ領域へのIVR-CTシステム導入~IVR担当技師の新たなる挑戦~」。同院には国内初(世界でも2番目)となるIVR-CT(Infinix Celeve-i INFX-8000C&Aquilion ONE ViSION Edition、東芝メディカルシステムズ)システムが導入されており、新システム稼働にあたり同氏が経験した問題点や工夫した点等が報告された。円滑に術中CT撮像を行う環境構築のため、より一層強固なチーム医療が求められ、ミーティングやシミュレーションを重ねることで運用方法は確立されつつある。一方で、心電図同期CTの画質は心拍の影響が大きいことに加え、ガイドワイヤー自体のアーチファクトの軽減など課題点もあり、質疑応答の時間では会場からアーチファクトの軽減法について提案もされた。
機器展示観覧の時間が設けられた後、井田義宏氏(ADCT研究会理事長・藤田保健衛生大学病院)はADCT研究会からの報告として「次年度より組織を全国8ブロックに展開、全国区で再び活動し、Volume scanのできるADCTとして今後も発展をしていきます」と説明した。
特別講演ではまず、君島正一氏(日本大学医学部附属板橋病院)座長のもと、神山 浩氏(日本大学医学部医学教育企画・推進室 附属板橋病院)による「ADCTによる小児CT検査について」、続けて梁川範幸氏(東千葉メディカルセンター)座長のもと、赤羽正章氏(NTT東日本関東病院)が「画質を担保した線量最適化戦略」と題して講演を行った。
最後にポスター演題の表彰が行われ、次回当番世話人である井田義宏氏の挨拶で同研究会は幕を閉じた。
396名収容可能なホールはほぼ満席であり、多くの参加者が一堂に会する中、当番世話人である井野賢司氏(東京大学医学部附属病院)が挨拶として開催の喜びと感謝を述べた。
その後、東芝メディカルシステムズ(株)よりRSNA2015の報告があり、当日の様子が紹介された。同社ブース来場者数は2208名にものぼったという。AquilionTM Lightningの紹介もされ、「今後もさらに技術開発に注力していきたい」と語った。
次に、越智茂博氏(東千葉メディカルセンター)、赤城輝哉氏(三井記念病院)座長のもと、6題の一般演題が発表された。
1題目は大原千季氏(医療法人社団清風会五日市記念病院)が「4D-CTAによるMatas Test~脳動脈瘤術前における血行動態評価~」の題で、欠席の竹本幸平氏に代わって発表した。Matas Testは閉塞予定の血管をバルーンにより一時的に閉塞させて、非閉塞血管からの血管撮影を行い、血行動態の評価など、場合によっては脳血流シンチを用いて血流状態を定量的に評価する検査。同院ではMatas Testを4D-CTAで施行しており、撮影条件やポイントを紹介。ポジショニングは患者の顎を軽くあげて自然な立位の状態に近づけ、撮影開始直前に患側の総頸動脈を手指により圧迫するのがポイントで、同法は血行動態評価のための簡易的な検査法として認識する必要があるが、撮影範囲をWillis動脈輪に限局すればAquilion ONEに限らず、Aquilion PRIMEでも検査可能であると述べた。
2題目は鈴木勝久氏(慶應義塾大学)による「Lung Subtraction 撮影のポイント」。一般的に慢性血栓閉塞性高血圧(CTEPH)の画像診断には肺血流シンチが適応されるが、同院ではLung Subtractionを用いて高い正診率を得ている。Dual-Energy CTによる撮像よりも2~2.5倍のコントラストで描出ができ、事前の患者への呼吸に関する十分な説明と最適な造影タイミングにより精度の高い検査ができるという。
3題目は芳賀喜裕氏(一般財団法人厚生会仙台厚生病院)による「新しい冠動脈サブトラクションCTA法の構築」。冠動脈サブトラクションCTAは、MASK像とコントラスト像を2回に分けて撮影するため、体動などによるミスレジストレーション(ミスレジ)が問題となる。本演題では1呼吸でコントラスト像を撮影後、数秒で遅延撮影を行い、その遅延画像をMASK像として利用する方法を発表。本法はサブトラクション画像のCT値が全体的に低下するが、1呼吸で短時間撮影が可能なためミスレジを軽減できる。今後は患者によって造影剤のwash outにバラツキがあるため、造影剤注入法のさらなる検討が必要であると論じた。
4題目は木口雅夫氏(広島大学病院)による「FIRSTを用いた冠動脈解析画像の評価」。新たな画像再構成法である逐次近似画像再構成(Full Iterative Reconstruction:Full-IR)はさらなるノイズやアーチファクトの低減に加え、分解能向上も期待できる。本演題ではFull-IR Forward projected model-based Iterative Reconstruction SoluTion(FIRST)プロトタイプの画質を冠動脈模擬病変を用いて評価。ノイズはFBPと同程度、コントラストは約70%改善した。特に高コントラスト領域で分解能が向上し、画質の改善が認められ、さらにブルーミングアーチファクト、部分体積効果の軽減にも有効であるという結果が得られた。
5題目は藤代 渉氏(平塚市民病院)による「4DCTによるエンドリークタイプ診断」。大動脈に対する治療方針を決定するにあたってエンドリークのタイプ診断は非常に有用であるが、従来のCTA診断では流入血管と流出血管を形態的に判断することが困難なため、十分な診断能が得られず、血管造影を要することが多いとされていた。エンドリークタイプによって交通する動脈の血流動態は異なるため、4DCTで流入血管、流出血管を確認できればタイプ診断の精度が向上するといえるが、研究により、4DCTを用いればタイプⅠまたはⅢと、タイプⅡと区別することにおいては全例において適切に行われ、早急な対応の必要性の判断に有用性が高いと示された。
6題目は柳川康洋氏(大阪大学医学部附属病院)による「国内初となる心カテ領域へのIVR-CTシステム導入~IVR担当技師の新たなる挑戦~」。同院には国内初(世界でも2番目)となるIVR-CT(Infinix Celeve-i INFX-8000C&Aquilion ONE ViSION Edition、東芝メディカルシステムズ)システムが導入されており、新システム稼働にあたり同氏が経験した問題点や工夫した点等が報告された。円滑に術中CT撮像を行う環境構築のため、より一層強固なチーム医療が求められ、ミーティングやシミュレーションを重ねることで運用方法は確立されつつある。一方で、心電図同期CTの画質は心拍の影響が大きいことに加え、ガイドワイヤー自体のアーチファクトの軽減など課題点もあり、質疑応答の時間では会場からアーチファクトの軽減法について提案もされた。
機器展示観覧の時間が設けられた後、井田義宏氏(ADCT研究会理事長・藤田保健衛生大学病院)はADCT研究会からの報告として「次年度より組織を全国8ブロックに展開、全国区で再び活動し、Volume scanのできるADCTとして今後も発展をしていきます」と説明した。
特別講演ではまず、君島正一氏(日本大学医学部附属板橋病院)座長のもと、神山 浩氏(日本大学医学部医学教育企画・推進室 附属板橋病院)による「ADCTによる小児CT検査について」、続けて梁川範幸氏(東千葉メディカルセンター)座長のもと、赤羽正章氏(NTT東日本関東病院)が「画質を担保した線量最適化戦略」と題して講演を行った。
最後にポスター演題の表彰が行われ、次回当番世話人である井田義宏氏の挨拶で同研究会は幕を閉じた。
三原祥恭氏(東京大学医学部附属病院)と井田義宏氏
和田悠平氏(医療法人豊田会刈谷豊田総合病院)と井田義宏氏
池田欣正氏(自治医科大学附属さいたま医療センター)と井田義宏氏
北野哲哉氏(滋賀県立成人病センター)と井田義宏氏
会場風景
機器・ポスター展示の様子
11社が機器展示に参加(一部をご紹介いたします)
AZE
根本杏林堂
クロノスメディカルデバイス