冒頭挨拶、川上 潤氏(GEヘルスケア・ジャパン代表取締役社長兼CEO)が、「ヘルシーマジネーションカレッジはお蔭さまで14回を迎えた。今日はアルツハイマーの早期発見、早期治療の最新事情をシェアするのが目的だ。われわれは「Silver to Gold」戦略により昨年7月からPET診断用放射性薬剤「ビザミル」を発売しており、診断だけではなく治療にも貢献していきたい」と述べた。
続けて上條敦史氏(エーザイ株式会社ニューロロジービジネスグループ 日本・アジア臨床開発部)は、「アルツハイマー病は早期治療が大事であり、進行したアルツハイマー病ではなく 早期であることが大切である。そのためにはアミロイドPETで、早期診断をして先制医療が最も重要だ。アミロイドイメージングには、①病態修飾薬の治験の成功向上②テーラーメイド医療の実現③アピアランス(服薬コンプライアンス)の向上の3点からも非常に期待している」と語った。
続いて服部直也氏(LSI札幌クリニック院長)が、βアミロイドPET検査がどのようにアルツハイマー治療に寄与できるのかという期待を述べた。PETやMRIは認知症の結果をみているが、βアミロイドPETは原因を見ることができ、病理的な診断が可能になる。アミロイドイメージングで確定診断ができれば、やがて来たる介護や相続問題猶予の時間ができ、準備に助かるだろう。また、βアミロイドイメージングが陰性なら10年は発症することなく大丈夫であり、陽性と分かった場合でも発症を予防したり遅らせたりできる」と説明した。
最後に登壇した石井賢二氏(東京都健康長寿医療センター研究所研究部長)は、「アミロイドイメージングとは従来は死後脳の病理検索でしか分からなかった異常タンパク病変(アミロイドβ沈着:老人斑)をPETで可視化する技術である。近年アルツハイマー病疾患概念は変化しており、従来は認知症レベルとなって初めて『発症』したと考えられてきたのが、現在では病気のプロセスは認知症になる前から始まっているという考え方になってきている。
我々が経験した症例の一つだが、ある58才男性は怠業とみなされていたが、受診したところ認知機能の低下を認め、MRIで海馬の萎縮が疑われ、アミロイドイメージングで陽性の所見があった場合、早期アルツハイマー病と診断され、怠業ではなく病気であることがわかってきた。氏はアミロイドイメージングによって病態修飾薬開発が進展していること、積極的な発症予防と適切な予測にもとづいた治療計画が可能になることも力説した。