島津製作所は、2017年9月4日Elmammo Avant Classを発売。同社が2014年に発表したElmammoの普及機として、高い感度と解像度はそのままに、検査における快適さの追求や導入コストの低減を図り、国内におけるさらなる普及を目指す。
今回発売されたElmammo Avant Classの特長は、大きく3つ挙げられる。1つめは、被検者の負担が少ない快適な検査を目指し、被検者が寝台にうつ伏せになり検査を受ける際、うつ伏せの姿勢をとりやすいよう顔を乗せる部分のくぼみをさらに深く改良。ポジショニングを含め約15分の検査の間、首への負担が少ない楽な姿勢で検査を受けることができる。2つめは、ブラインドエリアの縮小と撮像視野の最適化である。検出器ホール周囲のクッションを薄くし、天板全体を検出器に近接させることで、天板上面から検出器面の距離が18mm縮小され、ブラインドエリアの縮小に貢献。また、従来機の撮像視野は156mmだったが、過去の症例から日本女性の98%が103mmの視野に収まることが分かり最適化。大きな乳房の場合は、検査補助クッションを用い対応する。3つめは、収集及び処理コンソールの1コンソール化である。これにより、省スペース化や操作の簡便化、さらには画像処理時間の半減を実現した。価格は3億5千万円~となっており、検査にともなう患者の負担が少ない、精度の高い乳癌検査の支援を目指す。
明石定子氏
続いて、Elmammo Avant Class発売記念講演として、明石定子氏(昭和大学乳腺外科)からは乳癌検診、診断、治療における乳房専用PET装置への期待が語られた。「乳癌は早期発見できれば治療により、再発も少ない病気であるが、マンモグラフィ検診の受診率の低さが課題となっている。原因としては検査自体が面倒、検査時の痛みの心配、自身に思い当たる症状やしこりがないといったことが挙げられる。また、高濃度乳房の場合は検出力が低くなるだけでなく、乳癌罹患の可能性も高くなる。Elmammoは、健診において高濃度乳房や豊胸術にも対応が可能である。また、全身PETでは集積が描出されない症例や、ブラインドエリアのため集積を認められないという課題に対して、Elmammo Avant Classでは撮像視野も改善されている。治療において、術前の正確な診断は、乳房温存術か乳房全摘出かを正しく決定するためにも重要であり、術式決定や術前化学療法の早期効果判定にも非常に有用である」と期待を示した。